無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】

無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】 1024 718 Biz Tips Collection

「一日中ネット調査したが、特に成果が出なかった。」「途中で何を調べているのか、よくわからなくなった。」誰もが一度は経験あるのではないか。インターネットの普及により、リサーチ業務は大幅に短縮された。一方で、誰もがリサーチをできる前提となり、リサーチ訓練を受けていない人がリサーチを実施する機会も増えた。企画作成や戦略策定など様々な業務において必須作業となっているリサーチだが、リサーチ訓練を受けていない利サーチャーがリサーチを漫然とやると時間ばかりかかる。情報は武器だ。意識するだけで、今より効率的に情報収集ができる基本的なポイントを紹介する。

 

コツ①:深さ、幅広さ、スピードの優先順位を意識する

リサーチの深さ、幅広さ、スピードはトレードオフだ。どれかを重視すると他が弱くなる。
そのため、調査の目的に合わせて、3つのうちどれに重点が求められているのか、意識することが重要だ。

例えば、以下のような場合がある。
新規参入予定の業界の全体像を知りたい。
これは、広さ重視の調査だ。つまり、どんな商品で、どんな企業がいて、どんなトレンドなのか、調査カテゴリーするを広くかまえて調査すべきだ。商品の技術詳細や、企業一つ一つの戦略などといった、より踏み込んだ深い情報はまだ必要ない。広さ重視を意識していないと、そういった枝(細かい)の情報までついつい読み込んでしまい、時間がかかってしまう。

競合製品の技術詳細が知りたい。
特定の競合他社の今後の動きを分析したい。
これは、深さ重視の調査だ。特定の製品や企業について詳しく調べていく形になる。深堀する対象を定めたら、例えば類似する別の製品や競合についてまで調べるのは、通常必要ない。(厳密には、類似するものとの比較が対象をより知れる方法である場合もあるので、全く必要ないとは言えないが。)

競合が自社の新規事業案と同様のビジネスを実施しているか知りたい。
このように、クイックにピンポイントの情報だけ知りたいのは、スピード重視の調査だ。例のような、あるかないかだけ知りたいものはその典型で、このようなお題に時間をかけてしまっては、上司はいらついてしまうだろう。このような場合、通常上司はおまけの情報や示唆が欲しいのではなく、すぐに事実だけ知りたいのだ。

 

コツ②:リサーチの目的を常に意識する

何事もそうだが、目的を意識しないと、無駄打ち・空振りが多くなる。見当違いのことを調べている時間ははっきり言って無駄だ。
また、目的をしっかり意識すれば、上記の深さ、幅広さ、スピードでどれを意識するべきかもわかる。

例えば、競合について調査しているとする。
目的が意識されていないと、競合の様々な情報がまとまったきれいなリストができあがるかもしれない。その情報のうち、本当に上司が求めているものはどれほどだろうか。きれいな成果物を作ることは目的ではない。その成果物は、何かに使われるために作成されたはずだ。
そこで、そもそもなぜ競合を調査するタスクが与えられたのか考えてみる。(もしくは直接聞いた方が早い。)そうすれば、競合を調査する目的は、「競合が自社のメイン顧客層をターゲットにしたサービスを出そうとしていないか把握したい」、「競合の新戦略の自社事業への影響の可能性を把握したい」、「競合の製品の弱みを特定してシェア奪還の余地を考えたい」といったものだったかもしれない。であれば、競合の製品以外の調査を調べても、あまり関係ない場合が多いだろう。

同様に、「業界の全体像を把握したい」という調査に関しても、同じ広さ重視の調査だとしても、目的が「業界参入余地の検討」なのか「BtoB製品の顧客ターゲットとしての検討」なのかによって、調査で注視する内容は変わってくるだろう。

調査に限らず何事も、目的の意識は基本だ。

 

コツ③:仮説(ある程度の想定・予測)を持って調査する

目的が明確であれば、次に意識するべきは仮説だ。仮説は仮の答えのことである。ある程度の想定・予測・肌感覚とも言える。全く新しいことに対して仮説を立てるのは難しい場合もあり、そのような時はそれなりに広く調査する必要があるかもしれない。しかし、ある程度知識のある分野であれば、調べる前から、「もしかしたらこうなのじゃないか」と考えておくことが重要だ。自分が知っている業界と似ているからココも同じような考え方を持っているだろうと考えるのも妥当だろう。

例えば、「競合の製品の弱みを特定してシェア奪還の余地を考えたい」という目的の調査であるとする。「あそこの製品は、安いができることが限られており、ユーザーはそれをストレスに感じているのではないか」という仮説が立てられるかもしれない。そうすれば、その情報を、ウェブのユーザーレビューなどから、ピンポイントで探し出すことができる。
調べた結果それが違ったら、「高齢者も使用していると聞くが、あまり高齢者に優しい設計になっていないと思われる。高齢者が他にないからしょうがなくその製品を使っているが、実はストレスに感じているのではないか。」という仮説も出てきて、次はそれをピンポイントで検証すればよい。
このように、仮説→検証→違ったらまた仮設→検証を繰り返すと効率的だ。この時に重要なのは、正しい可能性の高そうな仮説から検証していくということだ。

このように、仮説は、調査内容をある程度しぼることで、リサーチを効率化できる。
もちろん、仮説の精度が低ければ、誰も思いつかなかったが実は重要だった内容を見落とす可能性が高まるリスクもあることは、忘れないで頂きたい。

 

時間は有限!やることは無限。。リサーチは効率よく

リサーチは、時間をかけようと思えばいくらでもかけられる。気づいたら時間ばかりたってしまうものだ。
コツ①:深さ、幅広さ、スピードの優先順位を意識する。
コツ②:目的を意識する。
コツ③:仮説を持って調査する。
これら基本的なコツ3つを意識すれば、効率的に情報収集できるだろう。ただ漫然と調査して、無駄に時間を使うことはなくなるだろう。
また、今回紹介したコツは、実際リサーチ以外でも応用可能な基本でもある。
更に具体的なリサーチテクニックは他にもあるので、いずれ紹介していきたい。