まずは基本を知る!ビジネスのためにネゴシエーション(交渉術)を学ぶ①

まずは基本を知る!ビジネスのためにネゴシエーション(交渉術)を学ぶ① 1024 557 Biz Tips Collection

会社買収や事業買収、事業提携と言った大きな話から人材調達、資材調達といった通常業務まで実はビジネスの現場では意外に交渉シーンは存在する。そして、タチの悪い事にそのような状況は突然仕事として発生する。大体のビジネスパーソンはその突然の状況に一時的に交渉術を調べ、付け焼き刃の状態で交渉に臨み、その交渉がうまくいったのか、行かなかったのかあまり明確にせず通常業務に戻っていく。
ネゴシエーション(交渉術)は、日本ではあまり学問としてメジャーではないが、アメリカなど海外のMBAでは一般科目として認知されている。そしてスコットワークスなどの交渉専門の研修会社も存在し、ビジネスパーソンはそのスキルを磨いている。
今回はそれらのネゴシエーション技術を習得するための土台となる交渉に関する基本的な考え方に触れていくことする。

ネゴシエーション(交渉)の本質とは?

交渉を一言で表現すると何であろう。考えて見てほしい。妥協の模索、意思を通すための話し合い、利益の取り合い‥‥。。いろいろ表現の仕方はあるだろうが、この記事を読んでからはネゴシエーション(交渉)を「交換(エクスチェンジ)」と考えてほしい。以下、図を見てほしい。

ある価格交渉における各交渉人の頭の中を図式化したものだ。ここで注目してほしいのは価格以外に条件を考えていると言うことだ。支払い条件や取り扱い条件もビジネスにおいては重要な条件だ。経理から支払いタイミングを遅らせてほしい。倉庫係から受け取り人員が休みがちなので発送の取り扱いを一回の発送で行なってほしい。このような背景から条件が複数あった上で交渉を実施しているのだ。「交換」というのは自身の優先順位の高い条件と相手の優先順位の低い条件、自身の優先順位の低い条件と相手の優先順位の高い条件をマッチングして、入れ替える作業と言えよう。

そんな、都合よく条件のマッチングなんてできるわけないと思う人はいるかも知れない。しかし、実はそのような方は自身の条件をかなり詳細まで落とし込んだ状態で交渉に挑んでいないというのが実情だ。
通常の買い物時、これならいいかなと思ってレジに向かった後に送料がかかるとわかって買うのをやめた事は誰れもがあるだろう。

想定していない悪い条件があるのと同様に、想定していない良い条件も存在する。交渉上手はその良い条件を相手から引き出し交換を成立させるのだ。
買い物の例と同様に後出しの条件が出てきて交渉が破談になるケースは多々ある。事項では交渉が成立する条件を確認することとする。

交渉に臨む前に頭に入れておこう。交渉が成立する条件

交渉が成立する条件は以下の5点を満たしている必要がある。当たり前のことも含まれているが重要な要素なのでしっかり抑えよう。コレが満たされないと予測される場合は、どんなに努力して時間を費やしても意味がないので早々に交渉を切り上げるべきといっても過言ではない。

①最低限2名以上の関係者:当然の話だが、交渉をする相手がいないと交渉は成立しない。また、三角関係のような複数間における利害関係の成立するケースはあるので2名以上という表現になっている。

②取引の設定:交渉が成立した場合、その結果的として必ず取引が行われる。たとえば、お金と商品の交換であったり、商品同士の交換、時にはお金と将来への期待との交換であったりもする。

③取引条件の落としこみ:前項でも説明した自身の取引条件を詳細まで落としこむ作業である。発送料の例をとってもわかるように、想定していなかった要素を少しでも減らすために最低限のこだわりだけでなく、一般的に発生しそうな要素まで検討すべきだ。「この要素はどんな条件でも可」という認識をもつのも③の重要な作業だ。

④相手の認識の把握:相手の認識の把握とは、交渉相手の「目的」と「して欲しいそうなこと」の認識を把握するということだ。こちらの条件が明確になっていても、相手がそれをOKとしてくれなければ取引は成立しない。相手がOKといってくる条件を相手目線から確認する必要がある。もともと、こちらの条件が相手の条件内に納まっていない限りは、どんなにごり押ししても・営業してもただの迷惑行為に過ぎない。論理的に相手がOKしてくれる条件や環境をつくりだす事ができなければ、交渉とは呼べないのだ。

⑤双方の合意:②~③の内容を受けて、最終的に合意が必要である。両者の合意なくして取引は成立しないので、当然、交渉も成立しない。

以上が交渉が成立する絶対条件だ。コレがひとつでも欠けていると取引が破談になったり、交渉とは呼べないシロモノになる。

交渉とは「交換」。相手を知り、自分をよく知ること

今回は交渉を学んでいくための基礎知識として、交渉とはなにか?交渉になるための条件について解説してきた。何事も基本の理解が短期習得に欠かせないものなのでしっかり抑えて欲しい。次回はまた、同様に基礎的な内容として「交渉の種類」と「交渉のプロセス」について解説していきたい。一時期話題になった「ハーバード流交渉術」や「誰もに発生しうる交渉シーン」の例をもちいて解説するので楽しみにしてほしい。