財務諸表とは何か?財務諸表の役割と見方について

財務諸表とは何か?財務諸表の役割と見方について 1024 768 Biz Tips Collection

皆さんは、自分の会社のことをどこまで理解されているだろうか。社歴や商品知識、人事制度など、会社を理解するために必要なことは多いが、定量的な部分は「財務諸表」から捉えることが有意義だ。財務諸表は、読み方が分かっていないと、ただの数字の羅列に見えてしまう。自らの会社をより深く理解するために、財務諸表の読み方のコツをマスターしてほしい。

財務諸表とは何か?

財務諸表(Financial statements、通称F/S)とは、「企業の経営状態を定量的に把握できる資料」と理解してほしい。財務諸表は以下の4つから構成されている。

①.貸借対照表(Balance sheet、通称B/S):企業の一時点の財産の状況(財政状態という)を明らかにする表
②.損益計算書(Profit&Loss Statement、通称P/L):企業の一定期間の利益の状況(経営成績という)を明らかにする表
③.株主資本等変動計算書(Statements of Shareholders’ Equity、通称S/S):B/Sの純資産の部の一定期間の変動を明らかにする表
④.キャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement、通称C/F):企業の一定期間の現金の変動を明らかにする表

ここで重要なのは専門的な言葉の定義ではない。理解してほしいのは、企業の経営状態を定量的に把握するときは、①持っている財産(資産という)と債務(負債という)、②稼いだ利益、③純資産(資産から負債を差し引いた差額)の変動、④稼いだお金。という4つ視点から見ていくということ。そして、この4つは互いに繋がっているということだ。

 

財務諸表のそれぞれの繋がり(B/S,P/L,S/S,C/F)

それでは、財務諸表がそれぞれどのように繋がっているかを具体的に見ていこう。ここでは、架空の商店の取引を例に見ていく。皆さんが1人で事業をおこしたと想像して読んでもらいたい。

 

財務諸表の作成

あなたは駄菓子屋の開店すべく、以下のことを行った。
①自分の預金口座から1,000円を会社用の口座に移した。
②600円を現金で支払って商品を仕入れた。
③500円分の商品を1,200円で販売した。ただし入金は1か月後とした。

これらを財務諸表に表すと以下のようになる。
簿記の知識が無いと、すべてを正確に理解するのは難しいかもしれないが、結果を見て大体のイメージが持てれば問題ない。念のため、財務諸表の各資料の説明を補足しておく。
・B/S・・・会社の財産となるのは、現金400円(会社資金1,000円ー現金仕入600円)と、将来現金になる売掛金1,200円、将来販売できる商品100円(仕入600円-販売500円)。債務についてはなし。純資産については、株主資本等変動計算書から転記(後述)
・P/L・・・会社の利益となるのは700円(商品売上1,200円ー商品売上原価500円)、利益の結果を株主資本等変動計算書へ転記
・S/S・・・純資産の変動は資本金の流入1,000円と当期純利益の発生700円。結果について、貸借対照表へ転記
・C/F・・・営業活動(販売活動)からは600円の赤字(600円の商品仕入 ※商品売上については未入金)、投資活動はなし。財務活動については資本金の流入1,000円。現金の残高について貸借対照表へ転記。

 

財務諸表の繋がり

上記の例により作成された財務諸表を見て、理解してほしいのは、財務諸表は互いに連携しているということだ。そして、すべての起点になっているのは貸借対照表だ。あなたが、事業をしようと思ったときを想像してほしい。まずに初めに行うことは、借入れだろうが、自己資金(自分のお金)だろうが、会社を運営するための資本の用意だろう。貸借対照表から事業が始まり、事業の成果が貸借対象表へ帰ってくるのだ。

 

財務諸表の読み方まとめ

今回の内容をまとめると以下の通りだ。
①財務諸表とは、企業の経営状態を定量的に把握できる資料
②財務諸表は4つの資料で構成されており、それぞれ以下を明らかにするために作成する
・貸借対照表(B/S)・・・持っている財産(資産という)と債務(負債という)の金額
・損益計算書(P/L)・・・企業が一定期間に稼いだ利益の金額
・株主資本等変動計算書(S/S)・・・純資産(資産から負債を差し引いた差額)の一定期間の変動額
・キャッシュ・フロー計算書(C/F)・・・企業が一定期間に稼いだお金
③財務諸表の起点は貸借対照表で、4つの資料は互いに連携している

上記を理解できていれば、財務諸表を分かると言っても差し支えないだろう。ただし、財務諸表の繋がりを理解しても、その会社にどのような特徴があるか理解するためには、もう一歩突っ込んだ見方が必要だ。財務諸表の分析方法のコツについては、別の機会で紹介したい。