
「戦略」と「戦術」の違いとは?ビジネスにおける具体例と解説
「戦略」と「戦術」の違いとは?ビジネスにおける具体例と解説 https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/strategy_eyecatch-1024x682.jpg 1024 682 Biz Tips Collection Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/strategy_eyecatch-1024x682.jpgよくごっちゃにされてしまう「戦略」と「戦術」という言葉。しっかり違いをわかっているだろうか。2つの違いを解説する。
戦略とは中長期の方向性。戦術は具体的な手段
戦略や戦術はもともと軍事用語だ。軍事では、全体的な攻め方、例えばどこに兵を配置するか、どの地域を攻めるかなどを、戦略と呼ぶ。個別の戦闘における戦い方は戦術と呼ばれる。今ではビジネスを含め様々な場面で使われる言葉だ。
簡単に言うと、戦略は、目標達成のための全体的な方向性だ。
まず目的がと現状があり、その間のギャップをどう埋めるのか、というのが戦略だ。
対して、戦術とは、戦略に沿った具体的な手段となる。
戦略の方向性に対して、実際にどんな個々の打ち手を打つのかが戦術だ。
戦略がWhat(何をするか)で、戦術がHow(どうやってするか)と考えるとよい。
戦略では大局的・長期的な視点で向かう方向性を決めるが、戦術は短期的な具体策だ。
ビジネスにおける戦略と戦術の例
まずシンプルな例を見てみよう。
商品の事業戦略:まずは認知を上げる。
戦術:TV CMを打つ。
人事戦略:エンジニア人員を拡大する。
戦術:①エンジニア向けの転職サイトに掲載する。②既存エンジニアによる社員紹介制度を導入する。
戦略と戦術の違いのイメージがついただろうか。
目的に対して戦略も複数設定されることや、1つの戦略に対して複数の戦術が設定されることは問題ない。
他にも実際の例を見てみよう。
ユニクロの例
企業戦略:価格の安さで競争優位性を確立する。(コスト・リーダーシップ戦略と呼ばれる)
戦術:SPA(製造小売業)。企画、生産、販売まで一貫して自社で行うことで、低価格を実現する。
ロケット・インターネットの例
企業戦略:既存のITサービスを速攻でパクり、まだない国でローンチする
戦術:アメリカのオークションサイト「イーベイ」をパクって、ドイツで「アランド」というオークションサイトをローンチする
この企業は、この方法で200以上のサービスをローンチした。
セブンイレブンの例
出店戦略:むやみに様々なエリアに進出せず、特定の地域に高密度に出店していく
戦術:①まずは○○区にXX店出店する。②○○区に絞ってフランチャイズオーナーの募集をかける
セブンイレブンのこれは、いわゆるドミナント戦略と呼ばれるものだ。同じエリアに大量に出店することで、認知度や親近度が上がる、物流や広告のコストが下がる、といったメリットがある。
コンビニが広まり始めていた頃、別のコンビニ企業は、各地域に一店づつ出店していきセブンイレブンよりカバーする地域は広かったが、この戦略を取ったセブンイレブンの方が業績がよかったという。まさに戦略勝ちのいい例だろう。
戦略と戦術のどちらかが欠けてもうまくいかない
戦略と戦術は、どちらかの方が重要ということではない。しっかり両方を意識することが重要だ。
戦術なき戦略では、実行が伴わない。
どんなすばらしい戦略の絵を描いても、実際に実行しなければ意味はない。
逆に、戦略なき戦術は、どこに向かうべきかわからない、かむしゃらな努力になってしまう。
労力も分散してしまうし、どの戦術をよしとすべきかの判断も難しい。ビジネスではリソースは限られている。戦略は何をするかを決めることで、逆に何をしないかを決めていると見ることもできる。「戦略とは捨てること」と言う人もいるくらいだ。
戦略がしっかりあることで、現場での判断がしやすくなる。ただ「売上を上げろ」という状態の営業部隊よりも、「特定の業界を狙う」、「商品Aをフックにして、後々Bを追加発注させる」、などといった販売戦略的な方針がある営業部隊の方が、動きやすい。
また、戦略も戦術もあるが、戦術が戦略に対応していないというケースもある。例えば、上層部は新規開拓への注力を戦略としてあげているのも関わらず、現場は既存顧客の対応ばかりしているという場合だ。戦略と戦術は、しっかり対応させることで意味がある。
戦略と戦術の両方を持とう
まとめると以下の通りだ。
・戦略は、目的達成のための全体的な方向性
・戦術は、戦略に沿った具体的な手段
・戦略と戦術はいずれも欠けず、しっかり対応していることが重要
話に上がった案は、戦略なのか戦術なのか、常に意識できるとよいだろう。事業全体の話をしているのに、戦術的な具体策の話に話題がひっぱられてしまうことは多々ある。
会社のヴィジョンや目的と、戦略や戦術の関連性については、以下の記事も参考頂きたい。
組織の目的と戦略に一貫性を持たせる! VMOSTモデル