
3分でわかる!バリューポートフォリオとは?株主と経営者の両視点の事業分析フレームワーク
3分でわかる!バリューポートフォリオとは?株主と経営者の両視点の事業分析フレームワーク https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/07/value_portfolio_eyecatch-1024x683.jpg 1024 683 Biz Tips Collection Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/07/value_portfolio_eyecatch-1024x683.jpgバリューポートフォリオ分析は、経営戦略に使われるフレームワークの1つだ。事業ポートフォリオとして、どの事業に経営資源を投下し、どの事業から撤退するか、の判断に使われる分析だ。特徴は、事業を株主視点と経営者視点の両方から分析することだ。
バリューポートフォリオは株主視点と経営者視点の双方から事業ポートフォリオを分析
以下がバリューポートフォリオ分析の例だ。
ごらんの通り、バリューポートフォリオでは、以下の2軸で各事業を評価する。
・ROI (株主視点)
・会社ビジョンとの整合性(経営者視点)
また、円の大きさは投下した資本で表すことが多い。投下した資本の大きさによって事業の力の入れ具合がわかるので、大きいほうから順に優先的にポジショニングを確認していくべきだ。
それぞれについて見てみよう。
ROI
ROI(Return on Investment)は、「投資利益率」のことだ。
一言でいえば、その事業がいくら儲かってるかの指標だ。
式としては、「利益(儲かった金)÷資本(投入した金)」で、数値が高ければ高い程、投資した金に対してより多く利益を上げていることになる。
株主にとっては、自分が投資した金がより多く利益を上げることが一番の目的のため、このフレームワークでは、このROIが株主視点として位置づけられている。
ビジョンとの整合性
金を投資してそこから更なる利益を上げるのが会社の目的の1つである一方、会社には加えて「経営ビジョン」がある。
経営ビジョンとは、会社として「将来あるべき姿」や「実現したい姿」のことだ。
これは、利益目標と関連しつつもそれと別の、会社としての夢や目標なので、このフレームワークでは、経営者視点と位置づけられている。
例えば、ライオン株式会社の経営ビジョンは以下の通りだ。
次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ
「健康、快適、清潔・衛生を通じた新たな顧客体験価値の創造」により、毎日の習慣を、もっとさりげなく、楽しく、前向きなものへ”リ・デザイン”することで、1人ひとりの「心の身体のヘルスケア」を実現する。
このように、会社として何を目指しているかを、示している。
ライオン株式会社の例で言えば、健康や快適さに関係する事業であれば、ビジョンとの整合性は高いと判断できる。逆に、広告事業や出会い系事業などを始めたら、それはビジョンとの整合性が低いと判断されるだろう。
バリューポートフォリオの各セグメントの戦略
ROIとビジョンとの整合性の2軸で、会社の各事業を評価すると、以下の事業を4象限のセグメントに分けることができる。
・本命事業
・課題事業
・機会事業
・見切り事業
これら各セグメントの事業に対して、どんな戦略が望ましいのか。詳しく見ていこう。
本命事業は更なる拡大
ROIも高く、経営ビジョンとの整合性も取れている事業は、本命事業だ。
しっかり利益を上げつつ、あるべき姿に向かっているという、完璧な事業だ
これは、事業ポートフォリオの中で、最重要視すべき事業たちであり、更なる拡大を狙うべきだろう。
課題事業は利益向上を狙う
会社のビジョンと整合性は高いが、利益をいまいち上げていないのは、課題事業だ。
求められるのは、採算性を改善して、うまく本命事業に持っていくことだ。
長期にわたってそれができないと、いくら会社のあるべき姿に向かって貢献しようとも、株主や投資家から撤退するよう圧力を受けてしまうかもしれない。
機会事業はビジョンとの整合性を合わせる
利益を上げているが、会社ビジョンと合致しないのは、機会事業だ。
これも、課題事業と考え方は同じで、ビジョンとの整合性を持たせて、本命事業になるように持っていくのが望ましい。
方法は2通りある。①うまくビジョンと整合するように事業を微調整・ピボット(方向転換)する。②経営ビジョンを定義し直す。もちろん②の方がハードルが高い。しかし多角化した新事業がもはやメイン事業となり、それに合わせて経営ビジョンを変更した例は実際多々ある。
ビジョンと整合しなくても、あくまで収益源として位置づけて残すという手もある。主要事業としてWebサービスを作っているベンチャーが、主要事業が利益を上げるまでシステム開発の受託を主な収入源にする場合はよくある。
しかし、ビジョンと整合しない事業を長期に続けると、従業員のモチベーション低下や対外的なブランド力低下という悪影響があるとも言われており、できるだけビジョンに合わせるようにした方が望ましい。
見切り事業は見切る
利益も上げず、本業とも関係ない事業は、見切り事業だ。
これはその名の通り、撤退するのが望ましい選択だ。
まとめ
・バリューポートフォリオは、自社の事業を、ROIとビジョンとの整合性の2軸で評価・分析
・ROI高・ビジョン整合性高:本命事業⇒拡大
・ROI低・ビジョン整合性高:課題事業⇒採算性向上
・ROI高・ビジョン整合性低:機会事業⇒ビジョンとのすり合わせ
・ROI低・ビジョン整合性低:見切り事業⇒撤退