現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法①|シーン別のストーリー構成

現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法①|シーン別のストーリー構成 1024 683 Biz Tips Collection

良いプレゼンテーションのもっとも重要なポイントはストーリー構成だ。つまり、プレゼンのシナリオ(流れ)がどれだけ聴衆に伝わりやすいかにかかっている。ビジネスにおけるパワーポイントを利用した業務の多くはプレゼンテーションやミーティングにおける情報共有・意思決定がメインだ。これらの目的を意識してプレゼンテーションをより良いものにしていこう。

 

ストーリーライティングの方法は2つ!TED型とコンサル型

あるべきプレゼン資料の作成について調べると大きく2つの派閥に分けられたあるべき姿が語られる。皆さんがよく業務で利用するは論理型で起承転結を意識しろだとか、結論を最初に持ってこようといった内容のものだ。一方で良いプレゼンテーションの典型例としてTEDの映像が紹介されていて写真だけのプレゼン資料で主張を述べている。

かっこいいプレゼンを行いたいのでTED型のプレゼンを試みるが、大切な詳細まで資料に書く必要もあるため、プレゼン資料はコンサル型で作成してしまう。そうするとプレゼンが上手くいかない。そういった経験はないだろうか?具体的にいうとコンサル型で徹底しろといわれている結論を最初に持ってくる方法と共感を煽った上で結論を言うTED型。両者は両立させるのは難しいのだ。

ではどうしたらいいのだろうか?
おそらくプレゼンテーションにおける適材適所を理解していないため、上記のような状況になっているといえよう。表題でも申し上げたようにプレゼンのストーリライティングの方法は2つある。TED型とコンサル型だ。実はこれらはプレゼンの目的によって本来使い分けられるべきなのだ。

 

プレゼンの目的は共感または意思決定。目的に応じてストーリーを切り替えろ!

プレゼンの目的には「共感を得ること」と「意思決定を促すこと」の2つがある。聴衆に対してどのように動いてもらいたいかを想定して行うのがプレゼンテーションだからだ。仮に聴衆がどのように動くかを期待していないならば、トイレのドアか2chの掲示板に書き込むだけにして欲しい。

例えば、聴衆のみんなに内容を賛同してもらい自身が実行する応援をして欲しいので在れば、それは共感型。聴衆のみんなに協力してもらい一緒にアクションに移すように迫るのであれば意思決定型だ。微妙な違いであるが、応援してもらうだけ(出資を募る場合も一部含む)か、聴衆に実行を求めるかで大きく目的が異なってくるのだ。

感の良い人はお気づきだろうが、
共感が目的の場合はTED型のストーリー
意思決定・情報共有が目的の場合はコンサル型のストーリー
を作成していくべきなのだ。

本来、アクションを促すには共感も必要なのだがビジネスでは基本的に社や部署の利益になるかどうかで実施の有無が判断される。そのため、共感を得るプロセスは飛ばして、実行する意思決定をしてもらうことに終始すればよい。ただし、注意して欲しいのがビジネスの場といってもクリエイティブな創作物について「これでいい」と承認をもらう場合(広告業界・デザイン業界)、TED型のストーリーを作成することも多い。それは「これでいい」という意思決定が論理的なものでなく、個人の感性にゆだねられるためだ。

使うべきポイントを理解してもらった上で、以降ではそれぞれの良いストーリーの作成方法を解説していくものとする。

 

TED型はボトムアップ。演繹的なストーリー展開

これまで述べてきたとおり、TED型は共感を誘い聴衆に賛同・応援してもらうことが目的だ。聴衆に共感してもらうためには共感を得られる心情的な下地を整えることが重要だ。そのため、結論からはじめるようなプレゼンは適しておらず、おのずと演繹的なストーリー展開をする必要がある。
ココではまず、共感の下地を作る必要性とそれを進めるために必要な演繹的なストーリー展開について解説する。

 

共感の下地を作る必要性

そもそも、人はコミニケーションを通じて自身の考えや意思を明確にしていく。あくまで、自身の考えや意思というものは相対的なもので他者との差分を意識して形成されるのだ。しかし、プレゼンテーションは一方通行でありコミニケーションに必要なキャッチボールが発生しない。プレゼンテーションという形式をかたどっている限り、限界があるのだ。この問題は古代ギリシャ時代から課題として認知されており、最古にして最高権威であるアリストテレスの弁証論でも語られている。

ここで考案されたのが聴衆に信頼してもらった上でプレゼンをしていくという手法だ。同じ感覚や境遇から得られるであろう感情・感覚を伝え、それを解決するためにこうするのだというヒロイズムを演出するのだ。このようなプロセスでプレゼンを進めることで、自身の意見を考えてくれた意見という疑似体験をし、コミニケーションと同等の考え・意思の形成(賛同・言応援)が促されるのである。

ここで重要なのは、どれだけ大多数の聴衆と感覚を共有できるかだ。参加者にどのような人物が来るかを予測し、その人たち刺さりそうな経験・感覚を考える。共感を誘う段階ではそれができるだけ具体的なほうが良い。具体例やたとえ話からするのが良いだろう。

 

演繹的なストーリー展開の構築の仕方

演繹的なストーリー展開とは「絶対に正しいものに依拠して論理をすすめる」ことである。具体的には「空」・「雨」・「傘」のような論理展開だ。
・空―「空は曇っている」(事実認識)
・雨―「ひと雨きそうだ」(解釈)
・傘―「傘を持っていこう」(判断)

誰が聞いても「そうだよね」といえるような論理で展開する。コツは3つ(人間の認知限界が3~4といわれているため)程度のシンプルな要素に絞ることだ。下記の図のようにそれぞれの要素を前提・事実・結論に当てはめ、後は前提・事実・結論の例を挙げて共感を誘う。

もっといろいろしゃべることがあるという方もいるだろうが、TEDなどでよいと評価されているプレゼンは本当にシンプルなのである。

今回は長くなったので、一旦ココで締めくくることとする。
次回、「現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法②|シーン別のストーリー構成」では以下の項目でコンサル型のストーリ展開とTED型との共通点、プレゼン資料作成に臨む姿勢について解説していくこととする。
・コンサル型はトップダウン。帰納的なストーリーを作成しよう
・TED型・コンサル型の共通で気にしなければならないこと
・あるべき論に囚われすぎないように