コンサルが使うリサーチテクニック!論点と仮説に基づく調査【応用編】
コンサルが使うリサーチテクニック!論点と仮説に基づく調査【応用編】 https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/research_advace_eychatch-1024x575.jpg 1024 575 Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/05/research_advace_eychatch-1024x575.jpg経営コンサルタントは、調査業務を実施することが多い。そこで彼らが気をつけているのは、リサーチの設計だ。
何も考えずになんとなくインターネットで検索を始めてしまうことはないだろうか。スピードと成果が求められるコンサルタントは、まず最初にリサーチの設計をする事こそ重要だと意識している。今回は、そんなコンサルタントのリサーチテクニックを紹介する。
より基礎的なリサーチのコツに興味がある方は、以下も参照されたい。
<無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】>
ストーリー(結論)を作ってから、調査する
調査をするからには、何か出したい結論があるはずだ。例えば、「自社の事業として、グルジアに進出すべきか」など。ここで、いきなり「グルジア 進出」「グルジア GDP」などと、いい情報がないか思いついたものから検索し始めるのは、よくある間違いだ。
今回の手法は、一言で言えば調査の結果を始めに作ってしまう方法だ。
役に立つのは、いわゆる論点思考と仮説思考だ。
①論点を整理する
論点とは、そのまま論じるべき点のこと。この場合、「何がわかれば、結論が出せるか」と考えればよい。
調査を始める前に、何が言えれば結論が出せるか(=何を調べるべきか)を整理するプロセスを実施すると効率が一気に上がる。
「自社の事業として、グルジアに進出すべきか」の例で言えば、何がわかれば結論を出せるだろうか。単純な例だが、「市場が魅力的」で「自社が勝てる」のであれば、進出すべきと結論できるのではないだろうか。「市場が魅力的か」と「自社が勝てるか」がこの例における調査すべき論点となる。
これら二つを大論点とした場合、更にこれらを小さな論点に整理することが可能だ。大論点「市場が魅力的か」に対しては、「商材の市場が存在」し、「市場の拡大見込み」があり、「国として安定」していれば、魅力的だと言えるのではないだろうか。これらが小論点となる。
まとめると、以下の通りだ。
このように、結論を出すべき内容を、調査しやすい単位まで分解していくのが、いわゆる論点整理だ。「グルジアに進出すべきか」で調査し始めるよりも、「商材の市場が存在するか」の方が何を調査すべきか明確で調べやすいのではないだろうか。
この例は単純な例だが、実際は、大論点⇒中論点⇒小論点、などのようにより深く分解していくことも多い。
②仮説でストーリーを作る
次に重要なのは、調査の前に先に仮説で最終的なストーリーを作ってしまうことだ。
先ほど整理した論点に合わせて仮説は作成する。
例えば、「自社が勝てるか」の小論点である「チャネルを確立できるか」については、「現地企業との提携で可能」という仮説が立てられる。
ここで立てる仮説は、調べて違ったら直せばいいので、できるだけ具体的でよい。仮説として、「チャネルを確立できる」よりも、「現地企業との提携で可能」の方が、調査はしやすい。もしより具体的なイメージがあれば、「業界中下位の企業であれば提携の見込みあり」などでもよい。
この論点整理と仮説作りは、実際同時並行で行うことも多い。しかし、初めての場合は、順番にやった方がやりやすいだろう。
全ての論点を仮説で埋めると、1つのストーリーになる。
これを埋めてみると、以下の通りだ。最終メッセージも仮説としての言い方に変更した。
このストーリーが、調査する前に作った、仮の調査結果だ。
これによりゴールが明確になるので、結論が正しくても間違っていても、調査はしやすくなる。
③調査票の作成
最後に、ここまで作った論点と仮説の表を、調査票にする。
よくやるのは、調査方法の列と、調査結果の列を追加することだ。実際はエクセルなどで管理するとよいだろう。
これで今回の調査でしなければならないことが明確になった。調査は簡単な穴埋め作業になる。
④調査をしながらストーリーを更新
実際の調査では、クリティカルな仮説(これが間違っていれば、全体のストーリーが変わる)ものから順番に調査してくのがいいだろう。
今の例で言えば、「現地企業との提供で可能」の仮説が間違っていても、チャネル開拓には他の方法があるかもしれないので、全体のストーリーに大きな影響がない。しかし「商材の市場規模が大きい」が間違っており、グルジアでは全くその商材の市場が存在しなかったら、そもそもの全体ストーリーが大きく変わる。
仮説が間違っていた場合は、また全体のストーリーを組みなおす。これを繰り返していく方が、当てもなく調査するよりも何倍も効率よく結論を出すことができる。
論点と仮説に基づく調査の利点
この手法は、調査が効率的になる以外にも利点がある。
まず、最終的な成果物が明確になる。
ここで作ったものは、そのまま最後に提出するパワーポイントの目次にすることが可能だ。
次にチーム全員にゴールを見える化できる点だ。
調査のタスクをチームで分けることができ、チームの目指すゴールを明確化できる。調査すべき内容を分解したことにより、業務を小さなタスク単位で割り振ることが可能になるのだ。