【5分】セット売りやリピーター促進!ディドロ効果とは?活用方法例は? | 行動経済学的マーケティング手法シリーズ
【5分】セット売りやリピーター促進!ディドロ効果とは?活用方法例は? | 行動経済学的マーケティング手法シリーズ https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/shutterstock_398322925-1024x683.jpg 1024 683 Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/shutterstock_398322925-1024x683.jpg「化粧品を1つ買ったら、一式同じブランドで揃えたくなる」
「身の回りのものをついつい同じ色のものばかり買ってしまう」
「テーブルを買ったら、同じメーカーのイスをまとめて買いたくなる」
このように思うことはないだろうか。
これは、ディドロ効果と呼ばれる心理が影響している。ディドロ効果とはどんなものなのか、企業はどのように活用できるか、解説する。
ディドロ効果は、同様のものを揃えたくなる心理
ディドロ効果(Diderot effect)という名は、ディドロという人物のエピソードがもとになっている。
ある日、ディドロはエレガントで高級なガウンをプレゼントされた。それがきっかけで、ディドロは身の回りのものを全て同様にエレガントで高級なもので揃えだした。
このように、新しいタイプや雰囲気のものが身の回りに導入されると、そのトーンに合わせた同様のものを揃えたくなる心理を、ディドロ効果と呼ぶ。
主に、高級品を1つ買ったら、全て高級品で揃えたくなる心理として語られることも多い。しかし、高級品の話に限らず、例えば節約志向に走り、身の回りのものを全て安物で揃えたくなるのを、同じくディドロ効果だ。
分かりやすい例は、着る物などを全て同じブランドで揃えたくなったり、部屋のインテリアを同じ雰囲気で揃えたくなり、ついつい必要なくても購入してしまう場合などだ。
ディドロ効果の発生理由は、一貫性を求める人の心理
ディドロ効果の背景には、人の物や行動が「一貫していたい」という心理がある。
人は違和感に居心地悪さを感じ、統一されていると安心する。
なので、シリーズ物で一部穴があると残りが欲しくなってしまったり、イスだけ部屋の雰囲気から浮いていると買い換えたくなったりするのだ。
また、「一貫していたい」心理の理由のもう1つに、購入や所有が自己表現でもあることがある。
自分はこういう人間なのだと外に向かって表現するためには、ある程度の一貫性がないとどんな人間か伝わらないのだ。
衣服が最もわかりやすい例だが、それ以外の持ち物にも、意識的にか無意識にか、本人の自己が表現されているものである。
ディドロ効果の活用方法
ディドロ効果はマーケティングや販促で活用可能だ。
同様のもので揃えたくなる心理を使うと、セット売りやリピーター化を促進し、顧客当たりの単価上昇を狙える。
いずれにせよポイントは、「同じジャンルの商品のまとまり」を消費者の頭の中に意識させることが前提だ。「同じ金額帯で物を揃えたい」、「同じ色で物を揃えたい」、というディドロ効果を消費者に発揮されても、全てを自社商品で取り込むことはできない。そのため、自社の商品で揃えた「まとまり」を消費者に意識させることが重要なのだ。
主に以下のような手法が見られる。
統一された世界観でブランディングする
自社ブランドだろうが、様々なところから仕入れるセレクトショップだろうが、有象無象のものを提供しているわけではない。これには様々な効果があるが、ディドロ効果もそのうちの1つだ。
ブランドは商品を売るのではなく、「世界観」や「ライフスタイル」を売ることによって、消費者をリピーター/ファン化していくのだ。
ブランディングされた世界観を維持して、多角化する
有名ブランドが商品ラインを多角化すると売りやすいのは、ブランドの信頼があるからだけでなく、このディドロ効果もある。
衣服から始まったブランドが、鞄や香水に商品を広げていくが典型だ。
これまで衣服をそのブランドで揃えてた人を、それまではそれで満足していたはずなのに、鞄も合わせなきゃ違和感がするような気持ちにさせることができる。
シリーズやセットで商品ラインナップを組む
同じトーンの商品でシリーズのラインナップを作ったり、セットで展示するのは、よくある手だ。
リアル店舗で、マネキンに揃えられた着こなしや、同じ雰囲気のインテリアを一緒に展示する、テーブルとイスを一緒に展示する、などはよく見られる手だ。このように、ちょっとした展示の仕方で、1個だけ買っても「足りない感」を醸成できる。
最初の一品目の獲得のハードルを下げる
ディドロ効果の起源となった、ディドロのエピソードでも、きっかけはプレゼントだった。特に高級品であれば、最初の獲得ハードルを下げる施策は有効だろう。
例えばソーシャルゲームでも、無料プレイしていたのに、ちょっとした時にレアカードが手に入り、手持ちをレアで揃えたくなって課金してしまう、ということがある。よくソーシャルゲームは、レアカードを一枚持ってれば遊べるものは少なく、手に入れたカードを3つ程選んでデッキやチームを組むことが多い。これは、レアカードが例えば2枚あったら残り1枚もレアにしたいという欲求をかきたてているのかもしれない。
まとめ
・ディドロ効果は、同様のものを揃えたくなる心理
・ディドロ効果の発生理由は、一貫性を求める人の心理
・以下のような手法で、ディドロ効果により顧客単価向上が狙える
-統一された世界観でブランディングする
-ブランディングされた世界観を維持して、多角化する
-シリーズやセットで商品ラインナップを組む
-最初の一品目の獲得のハードルを下げる
また、逆に消費者として無駄な買い物をしないためにも、本当にその商品が必要なのか、ただ揃えたくて欲しくなってしまっているのか、自問するのがよいだろう。
「行動経済学的マーケティング手法シリーズ」では以下も紹介している。
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