業務改革

業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは?
業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは? 1024 682 Biz Tips Collection

よく振り返りをするべきと言われるが、実際に振り返っても意味があったのか実感できないことが多くないだろうか。振り返りはぼんやり行っても意味はない。チームとしての場合も、個人としての場合も、振り返りを行う際はその指針として、簡単なフレームワークが1つあれば、考えるべきポイントが明確になる。

今回はそのための基本的なフレームワークを1つ紹介する。

 

KPTとは、Keep,Problem,Try

KPTは、もともとはシステム開発のプロジェクトなどで使われていた、振り返りのためのフレームワークだ。

KPTは以下の略となる。振り返る時はこのK→P→Tの順序でするとよい。
K= Keep(続けること)
P= Problem(問題があること)
T= Try(新しく取り組むこと)

たったこの3つの基本的なフレームワークだが、振り返るべきところが明確になり効率的だ。

逆に明確な指針なしの振り返りは、ただの感想になってしまいがちだ。

KPTは、プロジェクトの業務改善の一環でチームとして振り返る場合も、個人的に振り返る場合も有効だ。

もともとはチームで実施されることが多いフレームワークで、その場合はホワイトボードなどに以下のような枠を作って実施することが多い。

振り返るそれぞれの項目について見てみよう。

 

Keep (続けること)

Kでは、良かった/うまくいったので継続することをリストアップしていく。
チームで振り返る場合でも、個人的にうまくいったことをシェアしてもよい。

ポイントは、ただ良かった結果だけを挙げるのではなく、その結果に結びついた行動を挙げることだ。
(もちろん、結果を挙げてはいけないわけではない。まず結果を挙げて、どの行動がよかったのか考える順序でもよい。)

 

Problem(問題があること)

Pでは、問題があることを書き出していく。
以下のようなものが含まれるだろう。

  • 実際に問題が発生したこと
  • 不安なこと、リスクを感じること
  • よりよくできそうなこと、工夫できそうなこと

気をつけることは、個人の責任を追及するような会議にしないことだ。

犯人の吊るし上げでなく、あくまでチームとしてどんな課題があるかを考えよう。

 

Try(新しく取り組むこと)

Tでは、次に新しく試すことを書き出す。
Problemで上がった問題点の改善策などでもよいし、やったらいい気がしていることでもよい。
たくさん上げていき、最後にいくつかに絞って実行するのがよいだろう。

また、KPTを使った振り返りを複数回実施する場合は、挙げられたTryを次回のKeepやProblemで見直すとよいだろう。

 

まとめ

  • KPTは、振り返りを有意義にするためのフレームワーク
  • K→P→Tの順序で振り返りを実施
  • KはKeep(良かったので、このまま続けること)
  • PはProblem(問題のあること、改善すべきこと)
  • TはTry(新しく取り組むこと)
ECRS(イクルス)とは?解説と例|業務改善・効率化のフレームワーク
ECRS(イクルス)とは?解説と例|業務改善・効率化のフレームワーク 1024 683 Biz Tips Collection

「業務量が多い」、「人員が足りない」などの時に役立つ、簡単に覚えられるフレームワークがECRS(イクルス)の原則だ。プロセスの改善でも、個人的な日々の業務の効率化でも、この原則を頭に入れておくと、思いつきで実行するよりも効果的だ。

ECRSは、Elimate(排除)、Combine(統合)、Rearrange(再編成)、Simplify(シンプル化)

ECRSは、業務効率化の4つの視点を、以下の順番で検討する考えだ。4つの視点の頭文字を取って、ECRSと呼ばれている。元々は生産工程を効率化するために使われることが多かったが、日々の業務でも活用可能だ。

Elimate(排除) ⇒ Combine(統合) ⇒ Rearrange(再編成・入替) ⇒ Simplify(シンプル化)

1つずつ見ていこう。

Eliminate(排除):業務をなくせないか?

始めに検討するのは、業務をそもそも排除できないかだ。生産における不要な工程や、オフィスにおける無駄な会議がなくなれば、業務は効率化する。とりあえずやめてみる、というのも手だ。
この会議は必要か?この研修は必要か?この資料は必要か?などと、まず排除の可能性を問うのが、ECRSのスタートだ。
ポイントは、Why(何のためにやっているか)と、What(何をしているのか≒目的に合ったことをしているのか)を意識することだ。

Combine(統合):業務をまとめられないか?

なくせない業務について次に検討するのは、他の業務とまとめられないかだ。業務はまとめてしまえば、準備や連絡などの関連するやりとりが減り、効率化できる。
・メンバーごとに別々に実施していた会議を1つにまとめる
・別々に実施してた、新人研修とPCセットアップを同じ時間に実施する
・複数あった報告資料を1つのフォーマットにまとめる
・似てる機能の部署を、1つの部署にまとめる
・商品をまとめて配送する

Rearrange(再編成・入替):業務の順序や場所などを入れ替えられないか?

消したりまとめたりできないのであれば、順序などを入れ替えることで効率化できないか考えよう。ECRSのRは、作業の順番の入れ替えだけと思われていることも多いが、ここでいう再編成は、業務の順序、リソース、場所、担当者、などの入れ替えも含む。
・営業を近いエリアの顧客を担当するように入れ替えて、移動時間を減らす
・会議の後に、同じメンバーの別会議を設定することで、人の移動や席の準備などの手間を減らす
・報告業務を2日前倒しにすることで、上長が次のステップにすぐに進めるようにする
・資料作成は、会議の後にする

CombineとRearrangeで意識するのは、When(いつやるのか)、Where(どこでやるのか)、Who(誰がやるのか)だ。

Simplify(シンプル化):業務自体を簡素化できないか?

最後に検討するのが、業務自体をよりシンプルにできないかだ。
・会議のアジェンダを減らす
・報告書の項目を減らす
・かかわる人を減らす
Simplifyは見方によっては、ある業務を更に細分化して、それぞれに対してまたEに戻って検討する、とも言えるかもしれない。
意識するのは、How(業務がどのように実施されているか、どれくらい実施されているか)だ。

ECRSで重要なのは、検討する順番

ECRSは、業務効率化における4つの視点を教えてくれるが、最も重要なのがその順番だ。ECRSの順番は、効果が大きいもの順になっている。業務の排除(E)がもちろん最も効果が大きい。次に業務をまとめるのが効果が大きい(C)、といったようにだ。

ECRSを意識しないと、Sの視点ばかりで業務改善を実施してしまう恐れもある。どんなにSの視点で業務を効率化しても、そもそもその業務が排除可能だったら、その努力は効果的でない。

また、Eで排除可能と結論が出れば、CRSは検討する必要がない。一方、C以降は、例えばCで統合可能と結論が出ても、その後RやSを検討してもOKだ。

ECRSを意識して業務を効率化

ECRSは簡単に覚えられるので、業務を効率化する時は、念頭にいれておくといい。
まとめると、ECRSは以下の4つの視点をこの順番で検討する。
Eliminate(排除):業務をなくせないか?

Combine(統合):業務をまとめられないか?

Rearrange(再編成・入替):業務の順序や場所などを入れ替えられないか?

Simplify(シンプル化):業務自体を簡素化できないか?