ファシリテーション

意味あるブレストにする!ファシリテーターとしての司会進行のコツ5選
意味あるブレストにする!ファシリテーターとしての司会進行のコツ5選 1024 683 Biz Tips Collection

ブレインストーミングは、気をつけないと意味のない会議になりがちだ。「とりあえず一度ブレストしましょう。」と言ってなんとなく会議が設定され、会議ではなんとなく話していまいち結果が出なかったことはないだろうか。ブレストはうまく実施すればアイデアを出すのに有効だが、ただ「はい、自由にアイデア出しましょう」と集まって中々うまくいくものではない。そのため、ブレストのファシリテーター(司会)は非常に重要な役割だ。進行役として、意味のあるブレストにするためのコツを紹介する。

 

コツ:①テーマとゴールを共有する

まず、当たり前のように聞こえるが、テーマとゴールの共有が始めの重要事項だ。

テーマ設定は適切に

テーマは、「○○を使った新規事業アイデア」、「□□の解決策」などと言ったものだろう。いわば、そのブレストが開催される目的だ。ここでは、テーマが広すぎないように注意しよう。「A事業の今後はどうすべきか」のテーマは、話が大きすぎて、アイデアも出しづらければ、いざアイデアが出ても方向がバラバラすぎてまとめきれない可能性が高い。そのようなテーマを話し合いたい場合は、せめて「A事業の問題点は何か」にテーマを限定した方が意見が出やすい。「今後どうすべきか」は問題点を洗い出し、いくつかに絞ってから話し合った方が有意義だろう。
もちろん、ブレストは企画アイデアや解決法、問題点などの「案出し」に使うべきであり、何かを「決める」ための会議に使うべきではない。

ゴール設定では、目標アイデア数を宣言

ゴールの共有は、ブレストでおろそかになりがちだが、設定するだけでなんとなく終わる可能性を大幅に減らせる技だ。ブレストはその会議の目標を特に見失いやすい。ゴール設定は、時間制限とアイデア数で設定するといいだろう。例えば「50分で100個アイデアを出す」のような形だ。「50分で100個アイデアを出し、10個次回検討に値するアイデアを出す」のようなパターンもありだ。いずれにせよ、目標のアイデア数を設定・全体共有することで、そこに向かってアイデアを出さなければという意識を醸成できる。

 

コツ:②ブレインストーミングの基本ルールを共有し、徹底させる

ブレインストーミングには、4つの基本原則(ルール)がある。これは、始めに宣言・共有することが大切だ。
司会だけが意識すればいいものでもない。また、参加メンバーも知識として知っているかもしれないが、宣言していなければ意味はない。「このルールを守って進めますよ」ということを、改めて明言して全体の共通認識にすることが重要だ。そして司会は、このルールから外れたら指摘し、ルールに沿っているものは褒めるというコントロールができればよりよしだ。

ブレインストーミングの4原則とは、以下の4つだ。

●判断・結論を出さない(批判しない)

「それは予算的に無理だろう」のような発言が典型だ。このような発言は、自由な意見を言いづらくする。論理的にアイデアの是非の判断をするのは、ブレインストーミングの次のフェーズだ。ブレインストーミングでは、自由にアイデアを出すことに集中する。そのような批判的な意見が出た時、ファシリテーターは共有したルールを持ち出して、そのような発言を止めよう。

●自由奔放な意見を重視する

奇抜、斬新なアイデアを評価する。周りが笑ってしまうようなアイデアこそ、歓迎しよう。どんな馬鹿らしいアイデアでも、それを基点によりよい発想に繋がるかもしれない。ファシリテーターとしては、そのような意見が出たら「面白い!」と褒めるだけでも、周りは笑われてしまうかもしれないアイデアを言いやすくなる。

●質より量を重視する

新規性のあるアイデアは、まず量を出しまくることで出る。ゴール設定をアイデア数で設定すべきな理由もこれだ。質を意識しすぎるとアイデアが止まってしまう。とにかく量を出すことを重視しよう。

●アイデアを結合し、発展させる

出たアイデアを組み合わせたり、あるアイデアにのっかってアイデアを出すことを推奨しよう。他人のアイデアに便乗するのは大歓迎だ。アイデアは、いきなり出たものより、そうやって進化させていく方が、よりよいものが出やすい。

 

 コツ:③発言しやすい雰囲気を作る

メンバーにもよるが、いざブレストを始めても、あまりアイデアが出ない場合も多い。アイデアが出るよう促す方法は、大きく2つある。「発言しやすい雰囲気作り」と「各自のアイデア出しの強制」だ。

まず「発言しやすい雰囲気作り」だが、これはブレストのファシリテーターにとって非常に重要な役割だ。ブレストはリラックスして、何を言っても大丈夫という安心した状態でないと、うまくいかない。いくつかテクニックがあるので紹介する。

アイデアを褒める

出たアイデアは、どんどん褒めよう。黙って意見を書き留めるだけでは、あまり発言は促進されない。何かしら一言ネガティブでないフィードバックをしてあげるだけで、その場の意見の言いやすさは大きく変わる。

わざとくだらない案を出してハードルを下げる

ファシリテーター自ら案をいくつか出すとメンバーも続きやすくなるが、その時わざとくだらないアイデアを出すのも手だ。馬鹿らしいアイデアや笑ってしまうようなアイデアを出せば、出すアイデアのハードルが下がって発言しやすくなる。

切り口を提案する

アイデアが煮詰まったり、意見が止まった場合は、切り口を提案してみよう。1つの切り口にしぼったり、新しい視点を入れると新しいアイデアが浮かびやすくなる。「コンビニで売る場合の意見が多く出ているが、自販機の場合はどうだろう?」といった感じだ。「そもそもなぜ人はこの商品を使うのでしょうかね」のように、そもそも論を持ち出してアイデアを刺激するのもよい。また、よかったアイデアを選んで、そのアイデアの方向で便乗するよう促すのも手だ。

メンバーの選定に気を使う

意見が出にくい場合、現実的には特定の人物のせいの場合がある。「課長の前では、ちゃんとした発言をしなくては」みたいな意識が働くような、周りが気を使ってしまう人もいる。また、つい人の意見を批判してしまう人も現実問題いたりするだろう。そのような人物は、メンバーから外してしまうのも手だ。

 

コツ:④全員がアイデアを出さなくてはいけないように設計する

また、会議の参加ルールとして全員がそれぞれアイデアを出さなきゃいけないようにするのも1つの手だ。活発なメンバーならそこまでする必要がない場合もあるが、そうでない場合が多いだろう。

やり方はいくつかある。例えば以下のどれかや組み合わせを試すのもよいだろう。

事前にアイデアを持ち寄る

テーマを事前共有し、各自アイデアを考えてきてもらうのは非常に有効な手だ。全員が、手ぶらで来て、誰かが発言してくれるだろう、当日何かしら思いつくだろう、という意識で集まるよりよっぽど有意義だ。

各自で考える時間を作る

始めの10分で、各自ポストイットに書けるだけアイデアを書く、みたいな光景は見たことあるのではないだろうか。これも、全員がアイデア出すのを強制するための典型的な手だ。人によっては、次々意見が出てくる中で思いつくよりも、時間をとって考えた方がアイデアを出しやすい人もいる。

順番にアイデアを聞いていく

順番に、1つずつアイデアを聞いていくという手もある。何かしら発言しなければならない強制力が働くので、普段笑われてしまうかなと引っ込めてしまうような突飛なアイデアが出てくるかもしれない。ある程度アイデアが出きってメンバーが満足してしまったタイミングで実施すれば、強制的にアイデアをひねり出すこともできるかもしれない。
ただし、デメリットとしてリラックスした雰囲気がなくなってしまう可能性がある。また、他人の意見にのっかるアイデアがあれば、自分の順番でなくても発言をしていいように促すことも大切だ。

 

コツ:⑤アイデアのまとめ方を決めておく

ブレストでアイデアを大量生産したら、それで終わりではない。ブレストの後は出たアイデアの整理が必要だ。
同じ会議の中で時間を区切ってやってもよいし、ブレストはブレストで実施してその後別会議を設定するのもよい。むしろ別日にメンバーの頭が冷静な状態に切り替わった段階で実施する方がよいという考え方もある。
しかし、しっかりブレストの次のステップを決めておかないと、アイデアが大量に出て満足して終わりになりかねない。

まとめ方には色々な方法がある。いずれそれぞれについても詳しく解説した記事を用意しようと思うが、よくあるまとめ方を簡単に紹介すると以下の通りだ。以下の組み合わせで実施してもよい。

ポストイットを使うKJ法

アイデアをグループ化し、論理的に整理する手法。
1. アイデア出しの段階で、ポストイットやカードに記載する。(グルーピングする時に動かしやすくするため)
2. 似ているアイデアをグループにまとめて、名前をつける。
3. まとめたグループ間の関係性を整理するよう並び替えする。関係性とは、類似、反対、トレードオフ、原因・結果、などだ。
4. ここまでまとめたものを、文章化する。

アイデアの批評会を開く

ブレストの段階までは、アイデア出しを優先して、判断・批判は禁止だったが、次はそれを解禁しよう。自由に気になったアイデアについて、現実的に可能かなど、フリーにディスカッションしてもよい。そうすることで、たまったアイデアをふるいにかけて、現実的に実行可能なものを取り出すことが可能だ。

投票形式

これもよく実施されるやり方だ。「各3票」などと決めて、気になったアイデアに投票してもらう。これで絞ったアイデア群を、次のより詳しい検討のステップに進めるやり方だ。

アイデアを持ち帰って企画書に落とし込む人を決めておく

手法ではないが、こうする場合もよくある。出たアイデアをメンバー皆で整理できた方が、各自の当事者意識を維持する上でも有効だろうが、あまり時間をかけられない場合もある。アイデアをまとめる担当者や数人を決めてしまうのも1つのやり方だ。一番重要なのは、ブレストの次のステップがあいまいにならず決まっていることだ。

 

ブレインストーミングは、ファシリテーターが重要

ブレストの司会進行をする上でのコツをまとめると以下の通りだ。
①テーマとゴールを共有する
②基本ルールを共有し、徹底させる
・判断、結論を出さない。(批判しない)
・自由奔放な意見を重視する。
・質より量を重視する。
・アイデアを結合し、発展させる。
③発言しやすい雰囲気を作る
④全員がアイデアを出さなくてはいけないように設計する
⑤アイデアのまとめ方を決めておく
これらに注意して会議運営できれば、ありがちな意味のないブレストを減らせるだろう。

まずこれだけ抑えれば会議をうまく回せる!ファシリテーションのコツ【基本編】
まずこれだけ抑えれば会議をうまく回せる!ファシリテーションのコツ【基本編】 1024 768 Biz Tips Collection

「明日の会議で絶対結論を出さなくてはいけない。」「突然会議のファシリテーターに任命された。」そんな時、最低限これさえ意識していれば、それなりに会議を運営できるであろうコツを紹介する。
ファシリテーションは、会議を有意義にするために重要なスキルだ。まずは、基本を抑えることが重要。以下の5つのコツを意識することから、ファシリテーションマスターへの第一歩を踏み出せるだろう。

ファシリテーションのコツ①:
会議の目的とアジェンダを事前に設定する

ファシリテーションで重要なことの1つは、しっかり準備をすることだ。中でも、最低限準備していくべきことは、会議の目的とアジェンダ(検討課題)だ。

目的とアジェンダ(検討課題の対処法を含む)が会議の内容の全てだ。
目的はそもそも会議を開催する意味であり、アジェンダはその目的を達成するための会議の予定表のようなものだ。はっきり言って、目的とアジェンダのない会議は会議ではない。ただの雑談だ。

基本の基のはずが、目的やアジェンダが明確でない会議はごまんとある。
「議論をたくさんしたのに、何も結論が出なかった」
「雑談だけで終わった」
そんな会議に終わってしまうのは、ほとんどの場合が目的やアジェンダが明確でないからだ。

また、会議の目的は、「今日この会議ですべき具体的な理由」でなくてはいけない。
たとえば、「ユーザー数を増やす」では広すぎる。もちろんこれは最終目的かもしれないが、今日のこの2時間で達成すべき目的ではない。
「来週実施する施策を決定する。」「広告出稿のメディアを選定する。」といった、その日決められることにすべきだろう。(もちろん、決定が目的でなく、共有が目的の会議もある。しかし、それは本来報告会と呼ばれるべきだ)
また、1つの会議でアジェンダの詰め込みすぎにも注意すべきだろう。

ファシリテーションのコツ②:
今どのアジェンダの話をしているのか、常に明確化する

会議の目的とアジェンダが明確になれば、いい会議とはちゃんとそのアジェンダに沿って実施される会議だ。そのためには、今どのアジェンダの話をしているのか、常に明確に把握しメンバーへ共有しなければならない。自分の中にだけとどめていては、メンバーは何の話をしたらいいかわからない。

まず、目的とアジェンダを一番初めに会議の参加者全員に共有する。
前項で用意したアジェンダシートをプロジェクターで共有しながら会議進行するのが典型的な手法だ。

次に、これからどのアジェンダの話をするのか、明言する。
いわゆる議事進行だが、ファシリテーターとして最低限の仕事だ。
「それでは、まず○○の件から始めましょう」「○○の件は、XXということでよろしいですか?では次に□□の件に移りましょう」といった感じだ。

今現在の話題を明確に共有することで、メンバーの話をしっかり話すべき内容に誘導できる。また、話が脱線した時にすぐ気づくことができる。そんな時は、遠慮せず話をアジェンダに戻そう。
例えば「それはいい点ですが、今のアジェンダではないので、次のアジェンダで話しましょう。」「その件は、○○さんと○○さんが話せばいい件だと思うので、この場ではいったんアジェンダに戻らせてください。」といった感じだろう。

ファシリテーションのコツ③:
名指しで人に意見を聞く

発言が出ない。
いつも同じ人ばかり話している。
これもよくある光景だ。

せっかく目的やアジェンダが明確でも、意見が出なければ、集まった意味がない。
そんな時は、ファシリテーターとして、遠慮せず意見を聞こう。それだけでも、会議を回している感も出せる。

名指しで意見を聞くのは、以下の3パターンのタイミングがいいだろう。
a:発言すべき人が明確な時
当然だが、発表者が決まっている場合や、特定の人しかわからない件の場合は、指名して意見を言ってもらおう。
b:全体に聞いて、意見があがらない時
「○○の件について、意見がある人はいますか?」とまずは聞くだろうが、それで意見が上がらない場合がある。そんな時は誰かを名指ししよう。全体に聞かれるより自分に聞かれた方が、人は答えなきゃとなる。
c:一部の人ばかり発言している時
一部の声が大きい人ばかりが発言していると、結論が偏ったり、他の参加者に当事者意識が芽生えなかったりする。そんな時はあまり発言していない人に「ちなみに○○さんはどんな意見ですか?」と聞いてみよう。

ファシリテーションのコツ④:
各アジェンダの最後と会議の最後に結論をまとめる

ファシリテーターの仕事は、上記のアジェンダ設定や意見のうながしが含まれるが、それは全て会議の目的を達成するためである。つまり、ちゃんと結論を出すことが重要だ。

アジェンダから次のアジェンダに移る際には、ちゃんと結論が出たのか、しっかりチェックしよう。白熱した議論をしたのに、なんとなく次の議題に移ってしまったり会議が終わってしまっては、何のための議論かわからなくなる。ざっくりとしたブレストや情報共有が目的ならまだいいかもしれないが、ほとんどの議題には結論がある。

また、出した結論は、しっかり全体に対して明言して、その場の同意を確認するのが大切だ。話の流れでまぁこんな結論になっただろうとひっそり議事録に書いて議題を終わらせてはいけない。それでは、メンバーの中に違う認識を持ったままの人がいてしまうことがある。そうすると、結論が実行されなかったり、決定したはずの議題についてまたミーティングを設定しなければいけなくなってしまうかもしれない。しっかり明言して共通認識を持つことが重要だ。

ファシリテーションのコツ⑤:
結論では、ネクストステップをまとめる

結論を出す時に注意したいのは、「で、会議の後どうするか」を明確化することだ。でないと、次のアクションに繋がらない。
ビジネスのミーティングは、学者として何が正しいのかの結論を出したいわけではない。ビジネスではアクションがないとことが進まない。

会議で「採用エージェントを導入する」という結論が出たとする。その段階で会議を終えてしまっては、導入することは決まったが、何も動いていないという状況になりがちだ。
例えば、では「どの採用エージェントを使うのか、を次回の議題とする」「○○さんがその件を実行する」といったネクストステップもセットで結論を出せれば、ビジネスを動かしていくことができる。

次に誰が何をするのかを明確にしよう。
担当者はしっかり指定するべきだ。すべきことの実行者がいないと会議の目的は達成されない。中々決まらない時は、そこはファシリテーターが思い切って指名すべきだ。

また、結局結論がでないことも現実的にはある。そんな時も、「結論はもちこす」ことを全体に明言し、「次回会議で話す」、「結論を出すために足りなかった○○の情報を□□さんが調べる」のようなネクストステップをしっかり設定することが重要だ。でないと、結論がでなかったまま、その議題が放置されることもありうる。

 

まとめ:
一番重要なのは、目的、アジェンダ、ネクストステップ

ファシリテーションにおいて一番重要なのは、目的やアジェンダについてしっかり議論し、結論としてネクストステップを必ず示すことだ。
①目的とアジェンダの準備
②常に現在のアジェンダの明確化
③名指しで意見を求めて議論を活性化
④アジェンダと会議の終わりごとに結論をまとめる
⑤結論を出す時は、ネクストステップもセットで決める
もちろんファシリテーションの手法は他にもたくさんある。しかし、これらさえ意識すれば、初心者でもそれなりのファシリテーションをできるだろう。