リサーチ

これで部下に任せて安心!
ネット調査依頼時に気をつけてもらうこと5点
これで部下に任せて安心!
ネット調査依頼時に気をつけてもらうこと5点
1024 682 Biz Tips Collection

部下に調査を任せる際、調査結果の項目1つ1つまで上司がチェックすることは難しい。にも関わらず、調査結果の正確性は非常に重要だ。調査結果を基に事業案を組み立てて行った後に、そこに間違いや勘違いがあったことが判明すると最悪だ。部下にデスクトップリサーチ(Webリサーチ等)を任せる際、あらかじめ伝えておけばリサーチ結果の精度が一気に上がる、最低限気をつけるべき点を紹介する。また、これらは自身が調査をする際にも気をつければ役立つだろう。

Webリサーチのチェックポイント① 都合のいい情報が見つかってもすぐにリサーチを止めない

よくあるのは、言いたいことに合った、都合のいい情報がすぐ出てきて、そこで調査を止めてしまうことだ。しかし、もうちょっと調べてみると、全然違う見解が出てくることは実際ある。

Webの情報はあらゆる立場の人が書いており、その信頼性もまちまちである。いきなり最初に出てきたブログ記事の内容が正しいとは限らない。書いている人の立場によって見解が違う場合もある。また、もう少し調べてみたら、より最新の情報が出てくる場合もあるだろう。

調査上重要な点であれば特に、そこで調査を止めず、いくつかのソースを当たってみることが重要だ。調査の依頼を受けた本人は、すぐに仕事を終わらせたがっている場合もあるので、これはあらかじめ伝えておくとよい。

Webリサーチのチェックポイント② 情報源を確認する

Webの情報は、様々な人が載せている。そのため、情報源を確認することは非常に重要だ。意識するのは主に2点だ。

1)信頼性があるか

そこらへんのブログの内容なのか、法人のメディアやシンクタンクのレポートなのか。これらでその情報の信頼性は大きく変わってくる。一次情報か二次情報かも重要だ。引用された情報であれば、その引用元をしっかり確認することも大切だ。また、Wikipediaは一般に信用すべきでないと考えられているが、引用元をしっかり確認すればリサーチに十分使える。

2)情報源の立場

一見、信頼性のある情報源でも、情報提供元の立場を意識することが重要な場合もある。なぜなら、ポジショントークの場合もあるからだ。例えば企業であれば、業界や自社製品についていい面を強調するだろう。嘘はついていなくても、偏った事実だけ伝えている場合もある。

Webリサーチのチェックポイント③ 情報の鮮度を確認する

調査する上で、いつの情報かは必ず確認してもらうように伝えよう。調査を任せていると、情報源を見てみたら10年以上前の情報だった、みたいなことは実際たまにある。当たり前だが、古すぎる情報は今では変わってしまっている場合がある。

調査内容にもよるが、基本的には3年以内くらいの情報が望ましい。テクノロジーやベンチャー関連など変化が激しい領域の内容であれば、可能な限り最新の情報でないといけないだろう。

Webリサーチのチェックポイント④ 事実と見解を分ける

初心者に調査を依頼すると、著者の考えや予想を事実とごちゃまぜにしてまとめてしまうことがよくある。調査をする上で、その情報は確認された事実なのか、著者の見解なのかは、しっかり意識してもらおう。

もちろん、事実だけ集めて、著者の見解は捨てろという意味ではない。専門家の考えは有意義な示唆をくれる場合が多いし、その予想が実際の事実と合っている場合もあるだろう。気をつけてもらうべきは、報告時や調査結果レポートにおいて、そこでもしっかり事実と見解を区別して伝えてもらうことだ。たまに、調査している本人の見解を事実と一緒に報告してくる人もいるので、調査時だけでなく報告時も、事実と見解を必ず分けて報告してもらうようにしよう。

Webリサーチのチェックポイント⑤ 統計情報はサンプルを確認する

統計情報は、サンプルの数や、サンプルの偏りを確認してもらうようにしよう。
ネットのアンケート情報は、よく見るとサンプルが非常に少なかったり、一部の属性だけに聞いていたりする軽いものも数多くある。統計情報は、そこを伏せてデータだけ見せると、もっともらしく見えるので要注意だ。

後から精査するのは大変。初めから心がけてもらって調査の正確性を上げよう

部下の調査結果を、1つ1つ調査するのは大変なのに、調査は正確性が重要だ。また、せっかくたくさん調査してもらったのに、1つ間違った情報が出ると、全ての内容が疑わしくなってしまう。あらかじめこれらの点を気をつけてもらうのが、早道だ。
①都合のいい情報が見つかってもすぐにリサーチを止めない
②情報源を確認する
③情報の鮮度を確認する
④事実と見解を分ける
⑤統計情報はサンプルを確認する

コンサルが使うリサーチテクニック!論点と仮説に基づく調査【応用編】
コンサルが使うリサーチテクニック!論点と仮説に基づく調査【応用編】 1024 575 Biz Tips Collection

経営コンサルタントは、調査業務を実施することが多い。そこで彼らが気をつけているのは、リサーチの設計だ。
何も考えずになんとなくインターネットで検索を始めてしまうことはないだろうか。スピードと成果が求められるコンサルタントは、まず最初にリサーチの設計をする事こそ重要だと意識している。今回は、そんなコンサルタントのリサーチテクニックを紹介する。

より基礎的なリサーチのコツに興味がある方は、以下も参照されたい。

<無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】>

 

ストーリー(結論)を作ってから、調査する

調査をするからには、何か出したい結論があるはずだ。例えば、「自社の事業として、グルジアに進出すべきか」など。ここで、いきなり「グルジア 進出」「グルジア GDP」などと、いい情報がないか思いついたものから検索し始めるのは、よくある間違いだ。
今回の手法は、一言で言えば調査の結果を始めに作ってしまう方法だ。
役に立つのは、いわゆる論点思考と仮説思考だ。

①論点を整理する

論点とは、そのまま論じるべき点のこと。この場合、「何がわかれば、結論が出せるか」と考えればよい。
調査を始める前に、何が言えれば結論が出せるか(=何を調べるべきか)を整理するプロセスを実施すると効率が一気に上がる。
「自社の事業として、グルジアに進出すべきか」の例で言えば、何がわかれば結論を出せるだろうか。単純な例だが、「市場が魅力的」で「自社が勝てる」のであれば、進出すべきと結論できるのではないだろうか。「市場が魅力的か」と「自社が勝てるか」がこの例における調査すべき論点となる。

これら二つを大論点とした場合、更にこれらを小さな論点に整理することが可能だ。大論点「市場が魅力的か」に対しては、「商材の市場が存在」し、「市場の拡大見込み」があり、「国として安定」していれば、魅力的だと言えるのではないだろうか。これらが小論点となる。
まとめると、以下の通りだ。

このように、結論を出すべき内容を、調査しやすい単位まで分解していくのが、いわゆる論点整理だ。「グルジアに進出すべきか」で調査し始めるよりも、「商材の市場が存在するか」の方が何を調査すべきか明確で調べやすいのではないだろうか。
この例は単純な例だが、実際は、大論点⇒中論点⇒小論点、などのようにより深く分解していくことも多い。

②仮説でストーリーを作る

次に重要なのは、調査の前に先に仮説で最終的なストーリーを作ってしまうことだ。
先ほど整理した論点に合わせて仮説は作成する。

例えば、「自社が勝てるか」の小論点である「チャネルを確立できるか」については、「現地企業との提携で可能」という仮説が立てられる。
ここで立てる仮説は、調べて違ったら直せばいいので、できるだけ具体的でよい。仮説として、「チャネルを確立できる」よりも、「現地企業との提携で可能」の方が、調査はしやすい。もしより具体的なイメージがあれば、「業界中下位の企業であれば提携の見込みあり」などでもよい。

この論点整理と仮説作りは、実際同時並行で行うことも多い。しかし、初めての場合は、順番にやった方がやりやすいだろう。

全ての論点を仮説で埋めると、1つのストーリーになる。
これを埋めてみると、以下の通りだ。最終メッセージも仮説としての言い方に変更した。

このストーリーが、調査する前に作った、仮の調査結果だ。
これによりゴールが明確になるので、結論が正しくても間違っていても、調査はしやすくなる。

 

③調査票の作成

最後に、ここまで作った論点と仮説の表を、調査票にする。
よくやるのは、調査方法の列と、調査結果の列を追加することだ。実際はエクセルなどで管理するとよいだろう。

これで今回の調査でしなければならないことが明確になった。調査は簡単な穴埋め作業になる。

④調査をしながらストーリーを更新

実際の調査では、クリティカルな仮説(これが間違っていれば、全体のストーリーが変わる)ものから順番に調査してくのがいいだろう。
今の例で言えば、「現地企業との提供で可能」の仮説が間違っていても、チャネル開拓には他の方法があるかもしれないので、全体のストーリーに大きな影響がない。しかし「商材の市場規模が大きい」が間違っており、グルジアでは全くその商材の市場が存在しなかったら、そもそもの全体ストーリーが大きく変わる。

仮説が間違っていた場合は、また全体のストーリーを組みなおす。これを繰り返していく方が、当てもなく調査するよりも何倍も効率よく結論を出すことができる。

 

論点と仮説に基づく調査の利点

この手法は、調査が効率的になる以外にも利点がある。
まず、最終的な成果物が明確になる。
ここで作ったものは、そのまま最後に提出するパワーポイントの目次にすることが可能だ。
次にチーム全員にゴールを見える化できる点だ。
調査のタスクをチームで分けることができ、チームの目指すゴールを明確化できる。調査すべき内容を分解したことにより、業務を小さなタスク単位で割り振ることが可能になるのだ。

無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】
無駄に時間がかかりがちなリサーチの効率を上げる3つのコツ【基礎編】 1024 718 Biz Tips Collection

「一日中ネット調査したが、特に成果が出なかった。」「途中で何を調べているのか、よくわからなくなった。」誰もが一度は経験あるのではないか。インターネットの普及により、リサーチ業務は大幅に短縮された。一方で、誰もがリサーチをできる前提となり、リサーチ訓練を受けていない人がリサーチを実施する機会も増えた。企画作成や戦略策定など様々な業務において必須作業となっているリサーチだが、リサーチ訓練を受けていない利サーチャーがリサーチを漫然とやると時間ばかりかかる。情報は武器だ。意識するだけで、今より効率的に情報収集ができる基本的なポイントを紹介する。

 

コツ①:深さ、幅広さ、スピードの優先順位を意識する

リサーチの深さ、幅広さ、スピードはトレードオフだ。どれかを重視すると他が弱くなる。
そのため、調査の目的に合わせて、3つのうちどれに重点が求められているのか、意識することが重要だ。

例えば、以下のような場合がある。
新規参入予定の業界の全体像を知りたい。
これは、広さ重視の調査だ。つまり、どんな商品で、どんな企業がいて、どんなトレンドなのか、調査カテゴリーするを広くかまえて調査すべきだ。商品の技術詳細や、企業一つ一つの戦略などといった、より踏み込んだ深い情報はまだ必要ない。広さ重視を意識していないと、そういった枝(細かい)の情報までついつい読み込んでしまい、時間がかかってしまう。

競合製品の技術詳細が知りたい。
特定の競合他社の今後の動きを分析したい。
これは、深さ重視の調査だ。特定の製品や企業について詳しく調べていく形になる。深堀する対象を定めたら、例えば類似する別の製品や競合についてまで調べるのは、通常必要ない。(厳密には、類似するものとの比較が対象をより知れる方法である場合もあるので、全く必要ないとは言えないが。)

競合が自社の新規事業案と同様のビジネスを実施しているか知りたい。
このように、クイックにピンポイントの情報だけ知りたいのは、スピード重視の調査だ。例のような、あるかないかだけ知りたいものはその典型で、このようなお題に時間をかけてしまっては、上司はいらついてしまうだろう。このような場合、通常上司はおまけの情報や示唆が欲しいのではなく、すぐに事実だけ知りたいのだ。

 

コツ②:リサーチの目的を常に意識する

何事もそうだが、目的を意識しないと、無駄打ち・空振りが多くなる。見当違いのことを調べている時間ははっきり言って無駄だ。
また、目的をしっかり意識すれば、上記の深さ、幅広さ、スピードでどれを意識するべきかもわかる。

例えば、競合について調査しているとする。
目的が意識されていないと、競合の様々な情報がまとまったきれいなリストができあがるかもしれない。その情報のうち、本当に上司が求めているものはどれほどだろうか。きれいな成果物を作ることは目的ではない。その成果物は、何かに使われるために作成されたはずだ。
そこで、そもそもなぜ競合を調査するタスクが与えられたのか考えてみる。(もしくは直接聞いた方が早い。)そうすれば、競合を調査する目的は、「競合が自社のメイン顧客層をターゲットにしたサービスを出そうとしていないか把握したい」、「競合の新戦略の自社事業への影響の可能性を把握したい」、「競合の製品の弱みを特定してシェア奪還の余地を考えたい」といったものだったかもしれない。であれば、競合の製品以外の調査を調べても、あまり関係ない場合が多いだろう。

同様に、「業界の全体像を把握したい」という調査に関しても、同じ広さ重視の調査だとしても、目的が「業界参入余地の検討」なのか「BtoB製品の顧客ターゲットとしての検討」なのかによって、調査で注視する内容は変わってくるだろう。

調査に限らず何事も、目的の意識は基本だ。

 

コツ③:仮説(ある程度の想定・予測)を持って調査する

目的が明確であれば、次に意識するべきは仮説だ。仮説は仮の答えのことである。ある程度の想定・予測・肌感覚とも言える。全く新しいことに対して仮説を立てるのは難しい場合もあり、そのような時はそれなりに広く調査する必要があるかもしれない。しかし、ある程度知識のある分野であれば、調べる前から、「もしかしたらこうなのじゃないか」と考えておくことが重要だ。自分が知っている業界と似ているからココも同じような考え方を持っているだろうと考えるのも妥当だろう。

例えば、「競合の製品の弱みを特定してシェア奪還の余地を考えたい」という目的の調査であるとする。「あそこの製品は、安いができることが限られており、ユーザーはそれをストレスに感じているのではないか」という仮説が立てられるかもしれない。そうすれば、その情報を、ウェブのユーザーレビューなどから、ピンポイントで探し出すことができる。
調べた結果それが違ったら、「高齢者も使用していると聞くが、あまり高齢者に優しい設計になっていないと思われる。高齢者が他にないからしょうがなくその製品を使っているが、実はストレスに感じているのではないか。」という仮説も出てきて、次はそれをピンポイントで検証すればよい。
このように、仮説→検証→違ったらまた仮設→検証を繰り返すと効率的だ。この時に重要なのは、正しい可能性の高そうな仮説から検証していくということだ。

このように、仮説は、調査内容をある程度しぼることで、リサーチを効率化できる。
もちろん、仮説の精度が低ければ、誰も思いつかなかったが実は重要だった内容を見落とす可能性が高まるリスクもあることは、忘れないで頂きたい。

 

時間は有限!やることは無限。。リサーチは効率よく

リサーチは、時間をかけようと思えばいくらでもかけられる。気づいたら時間ばかりたってしまうものだ。
コツ①:深さ、幅広さ、スピードの優先順位を意識する。
コツ②:目的を意識する。
コツ③:仮説を持って調査する。
これら基本的なコツ3つを意識すれば、効率的に情報収集できるだろう。ただ漫然と調査して、無駄に時間を使うことはなくなるだろう。
また、今回紹介したコツは、実際リサーチ以外でも応用可能な基本でもある。
更に具体的なリサーチテクニックは他にもあるので、いずれ紹介していきたい。