「社長」と「代表取締役」、その他経営陣の呼び方の違いとは|例説!ビジネス用語の違いシリーズ
「社長」と「代表取締役」、その他経営陣の呼び方の違いとは|例説!ビジネス用語の違いシリーズ https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/shutterstock_589071674-1024x512.jpg 1024 512 Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/shutterstock_589071674-1024x512.jpgビジネス用語は会社や業界によって様々な言い方や意味の違いが存在する。本「例説!ビジネス用語の違い」シリーズでは身近に存在する似ているようで実は微妙に意味が違うビジネス用語を比較し、これらの相違点と違いが生まれてきた背景を例を持って解説していく。ビジネス用語の絶妙な違いを把握して適切なビジネスコミニケーションを見につけてほしい。
今回は、「社長」と「代表取締役」、その他経営関係の役職に関するの違いについて解説していくものとする。
「社長」と「代表取締役」ってどっちが偉いの?
皆さんがお勤めされている会社の一番偉いひとは誰だろう。社長と答える人もいれば代表取締役社長と答える人もいるだろう。会社によってはさまざまな組み合わせも存在している。このようなワードを調べていると、CEOやCFO、CIOやCTOといった役職との組み合わせも出てきてもはや意味がわからなくなってくる。例えば、人気フリマアプリのメルカリだと、代表取締役会長兼CEOと取締役社長兼COOがいる(2018/6時点)。
偉さには様々な捉え方や政治的な部分も多いので一概には定義することはできない。結論から言うと、会社や人間関係によって違うのだ。
あくまでも呼び方であって基本的にはなんと名づけても良いのだ。例えば、バイト先でのイメージでこのような状況はなかっただろうか?店長はバイトだけど、最近入ってきた新人は社員らしい。。。(おそらくこのようなケースは店長が一番えらいのだけど、政治的な理由(将来の正社員へのキャリアアップ)も含めて新人に対して敬語をつかってる・・・)
会社の経営陣でも例に挙げたような状況があるのだ。先にあげたメルカリを例にとってみると代表取締役会長は海外事業に注力することになったので、日本国内の経営を他の人に任せる必要が出てきた。取締役というとちょっと一番偉い感(国内)がなくなってしまうので社長という言葉を追加しよう!といった感じだ。
次章ではこれ等の呼び方の違いが発生している原因について述べる。結局どう取り扱えばいいのか?については最後の章に記載しているのでそちらを参考にして欲しい。
「社長」と「代表取締役」などの経営陣の呼び名の類型とそのようになった原因
先ほど触れたように経営陣の役職様々な組み合わせがある。
最近のトレンドでは大きく分けると3つの役職類型があり、それらに付随した役職・呼び名が存在する。「法的役職」・「職掌的役職」・「機能的役職」だ。
「法的役職」は権利の絶対基準!
法的役職は会社法上定められた会社設立時に役所に届け出なければならない役職だ。会社法上ではそれぞれの役職の目的や意味が記載されており、それ以外のものが役割を実行することが法令で認められていない。具体的な例を出すと会社の取引はすべて代表権を持った者でないといけないことになっている。
たとえ、ひとつのペンを買う取引だったとしても契約書を交わすのであれば最終的に代表者の印が押されることになる。多くの場合は上長の承認が合えればこの規模と取引は成立可能であるが、仮に取引先が部長印ではダメだ!などといいだした場合、会社の社内規定上認められている社内規定を提示するしかなかったり、それを相手が認めなかった場合は法的には代表印を押す必要性もでてくるのだ。
法的役職は以下のものが存在する。
代表取締役・取締役・社外取締役・代表執行役・執行役・監査役・社外監査役・監査委員・会計参与
これらの役職ですべてであり、会社の法的体制によって存在しないケースもある。
面白い例を2点ほど紹介する。
ひとつは実は一般的にメジャーな代表取締役は必ずしも必要なく、取締役が一番偉いケースもあるのだ(代表取締役と選任していない場合に限る)。
二つめに執行役員と呼ばれている役職は法的役職ではないので法的には経営者ではないということだ。
「職掌的役職」は島耕作に良く出てくる役職
職掌的役職を形容するのに最もわかりやすい例が島耕作の役職だ。職掌とは、会社が任意(勝手に、社内で)設定した役目のことでその役目に応じて設定されている。
一般的に浸透している呼名もおおく、コチラの呼び名を持っているお偉いさんも多い。
これらの例は会長、社長、副社長、常務、専務、執行役員、本部長、部長、室長、課長、主任、リーダーなどといったものがある。
一般的に専務以上の人が法的役職上の取締役であるケースが多いが、どれも会社が任意で自由に設定している呼び名なのであまり参考にならない。ちなみに一般的には執行役員以上を経営層・経営陣といったりする。ベンチャー企業では結構それっぽいという理由で命名されるケースもあるので気をつけなければならない。
「機能的役職」は最近の流行り
機能的役職はココではいわゆるCXO(Xは変数)とよばれる役職のことを指すこととする(厳密にはVice presidentのような直訳すると副社長という意味のものが日本では課長クラスであったりするケースも含むが)。対外的役職はインターネットの普及やグローバル化の影響を受けて機能的に見せるために最近浸透してきた役職である。定義としては法的役職とその他のその他の分類に含まれており、職掌的役職と同様の意味を持っている。
例えば、CEOであればchief executive officer、CFOであればchief executive officer、COOであればchief operating officerである。CEOとCOOの違いはいわば会長と社長のような違いで代表権を持った上での違いと海外では一般的に解釈される。
歴史ある企業でも例に挙げた3役職程度は定義されているケースは多いが、これ以外のXも存在する。
例えば、CIO(Information )、CTO(Technology)、CSO(SalesまたはStrategy)、CMO(Markting)。世の中にはCAAO、CAO、CAO、CBO、CBO、CCO、CGO、CHRO、CIE、CISO、CITO、CKO、CLO、CMTO、CPO、CROなるものまであるらしい。もはやわけがわからない。
Xという変数で好きな領域の英単語を入れていいよ、というような状況になっているので職掌的な役職よりも無法地帯になっていると考えたほうがよい。
これ役職が広まった経緯としては日本で一般的であった職掌的役職が会社の機能(例えば、マーケティングだったり、財務、営業)と一致しておらず、執行役員の以上の経営者層も専門性を持って機能的な各領域を担当したほうが良いという人事戦略的な観点が理由だ。
結局どうしたらいいの?
これまで呼んでいただけた読者にはトリビアな話になってしまわないように、当初の目的に立ち返ることとする。おそらく皆様は会食や会議室の席順、メールのあて先の役職の順番、議事録の出席者の順番に困って本ページを開いていただけたことだろう。そのような時のBizTpsを伝授する。方法は2パターンある。
①がんばって順番に並べるパターン
もはや根性論のように聞こえるかも知れないが、ココまで内容をしっかり読んでいただけた方には理解いただけると考える。最も参考にすることができるのが法的役職順だ。そして、職掌的役職>機能的役職の順番といえよう。組み合わさっている場合は組み合わせが多い方を偉いと捉えたほうが無難だ。
難しいのは経営陣未満の場合。ここは本当に会社によって違うので、先輩に聞くという手が一番早い。しかし、気をつけて欲しい、先輩によっては何でそんなこともわからないのと意味のわからないことを言ってくることもある。聞くときは必ず、順番に並べた紙を用意し、本部長と部長どっちが偉いんですかね?と聞こう。大体わかっているけれども一部だけわからないから質問したという状況を演出するのだ。
②無礼講パターン
次に無礼講パターンだ。これは必殺技的なもので時間のない際に利用する。わかりやすい例で言うとメールや議事録の記載に最後に(順不同・敬称略)と付け加えるのだ。
会議参加者:山田、斉藤、大木、西村(順不同・敬称略)
飲み会や会議の場合も、入場時に「アジェンダが多くて時間がない」などの理由をつけてそれぞれ適当に座らせ、「会議内容的に上下関係のない広く忌憚のない意見を聞けるようにいつもとは違う、席順を決めてない形としました、議論が活発にできるよう進めていくのでよろしくお願いします」などと添えれば、大丈夫なはずだ。この方法はとっさの時に聞いてくる方法なので、乱発しないように気をつけて欲しい。
これらの方法を駆使して、偉さという難しいビジネスシーンを乗り越えて欲しい。決して秩序のない現代にドロップキックしてしまわないように。。