
組織の知識創造プロセスSECIモデルとは?| ナレッジマネジメントのフレームワーク
組織の知識創造プロセスSECIモデルとは?| ナレッジマネジメントのフレームワーク https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/seci_eyecatch-1024x683.jpg 1024 683 Biz Tips Collection Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/seci_eyecatch-1024x683.jpgSECI(セキ)モデルとは、組織内の知識創造プロセスについてのモデルだ。いかに組織の知識・知見を高めていくか考える際に役立つ。現代は知識社会と呼ばれ、過去のように巨大な資本と労働力がモノをいう社会から、知的労働や組織に蓄積された独自の知見の役割が高まっている。そんな中、組織としての集合知を能動的に管理していこうということで、ナレッジマネジメントという言葉が生まれた。SECIモデルは、ナレッジマネジメントの基礎理論として知られる。
SECIモデルは、暗黙知と形式知の相互転換のプロセス
SECIモデルでは、知識を暗黙知と形式知の2つに分け、これらの相互転換により知識が創造されるとしている。
暗黙知とは、言語化されていない知識のことだ。個人の経験によるテクニックやくせとしてしみついている技などかもしれない。
形式知とは、言語化された知識だ。例えば熟練の営業マンの会話テクニックを文章化してマニュアルにすれば、それは暗黙知から形式知に転換したと言える。
共同化、表出化、結合化、内面化の4段階のプロセスで知識創造
SECIモデルは、組織内の知識創造プロセスを、以下の4段階のプロセスで表現する。また、これらの4つのプロセスは、一方方向ではなく、ぐるぐる回るサイクルになる。
Socialization(共同化)
↓
Externalization(表出化)
↓
Combination(結合化)
↓
Internalization(内面化)
↓
(共同化に戻る)
1つずつ見ていこう。
共同化(暗黙知→暗黙知)
共同化は、個々人の体験による暗黙知が、暗黙知のまま少ないメンバーで共有されていくことだ。例えば、OJTであったり、先輩に付きっきりの後輩が、先輩の技を覚えていくような場合だ。ここでは暗黙知の共有が行われているが、まだ言語化されていないので形式知ではない。また、言語化されていないので限られたメンバーにしか共有できない。
メンターやチーム制度、もしくはただ雑談する場を作るなどで促進することができるだろう。
表出化(暗黙知→形式知)
個人や一部の人たちの中に蓄積された暗黙知を、文章などで形式知化するのが、この表出化のプロセスだ。これで初めて、組織全体に共有することが可能となる。なんとなくの経験や勘といったものから、マニュアル化、ルール化、図や表でもよいので、概念として見える形にするのがこのプロセスだ。できる個人へのインタビューや、悩みや体験をチームでシェアするミーティングの結果を文章化するのも1つの手かもしれない。
結合化(形式知→形式知)
表出化で集まった形式知を、整理、統合、体系化などして、そこから新たな知を生み出すのが結合化だ。言語化された知見はより広く共有可能のため、別の人や部署から出てきた知見が組み合わさって新たな知見となるかもしれない。また、言語化された知見を体系化して整理することで、新たな視点が生まれるかもしれない。ポイントは、表出化で言語化された知識は、様々な人の視点を取り入れることが可能になるということだ。
内面化(形式知→暗黙知)
わかるとできるは別だ。新たに創造された形式知を、実際に実行するして、本人の暗黙知となるのがこのフェーズだ。そして形式知を実行していく中で、本人の中に新たな暗黙知が生み出される。この新たな暗黙知がまた、始めの共同化のフェーズに戻り、SECIのサイクルが回っていく。
このように、この4つのフェーズを通りながら、個人の暗黙知が組織の形式知となり、これがまた個人の暗黙知となり、と繰り返しながら知識が創造されていくのが、SECIモデルだ。
ナレッジマネジメントの観点からは、各フェーズがしっかり促進されているかチェックしたり、促進されるような仕組みを導入するような使い方になるだろう。表出化や結合化を促進するため、知識を共有するシステムを入れる例もある。
SECIは一回で終わるプロセスではなく、常に回していくサイクル
今回ナレッジマネジメントの基礎理論の1つとして知られるSECIモデルを紹介した。ここで忘れていけないのは、この一連のプロセスは、サイクルになっているということだ。例えば、表出化しなきゃとマニュアルばかり作っても、それがしっかり社内共有され個々人に実践されなければ、サイクルは止まってしまうのだ。
まとめると、以下のサイクルとなる。
Socialization(共同化):暗黙知→暗黙知
↓
Externalization(表出化):暗黙知→形式知
↓
Combination(結合化):形式知→形式知
↓
Internalization(内面化):形式知→暗黙知
↓
(共同化に戻る)