SPACE分析とは?自社のポジショニングを可視化・分析するフレームワーク

SPACE分析とは?自社のポジショニングを可視化・分析するフレームワーク 1024 614 Biz Tips Collection

SPACE分析は、内部環境と外部環境から、自社や事業の取るべきポジショニングや戦略を示すフレームワークだ。内部と外部を評価する意味では、いわゆるSWOT分析と似ているが、SWOT分析がより定性的で明確な結論が出しにくい一方、SPACE分析はどうすべきかまで示唆してくれる。事業責任者などであれば、頭に入れておくとよいだろう。

SPACE分析では、内部環境と外部環境を評価

SPACE分析とは、Strategic Position and Action Evaluationの略で、直訳すると「戦略的ポジショニングとアクションの分析」だ。SPACE分析では、内部環境と外部環境を評価して、自社の取るべきポジショニングを明確にする。

SPACE分析での内部環境は、「自社の競争力」と「自社の財務力」を評価する。
外部環境としては、「業界の魅力度」と「業界の安定性」を評価する。

これらの4つの項目を評価し、その偏りによって、自社の取るべきポジショニングを教えてくれるのが、このSPACE分析だ。

具体的なステップを見てみよう。

SPACE分析のステップ

ステップ① 評価項目の決定

まずは、4つの項目それぞれに対して、評価するサブ項目を決める。通常、以下のサブ項目のいくつかが使用される。自社の事業にあった項目を複数選択するとよいだろう。

自社の競争力:
・マーケットシェア
・製品の質
・顧客ロイヤリティー
・技術的ノウハウ
・垂直統合度合い
・プロダクトライフサイクル

自社の財務力:
・ROI
・キャッシュフロー
・資本
・マーケットからのイグジットの容易さ
・財務リスク

業界の魅力度:
・成長率
・潜在市場規模(成長ポテンシャル)
・利益ポテンシャル(市場は伸びていても、薄利多売の業界もある)
・参入しやすさ
・必要リソースの取得の容易さ
・業界特性による財務の安定性(安定的に利益が上がる業態か、など)

業界の安定性:
・技術革新の影響
・参入障壁の高さ
・価格弾力性
・需要の変動性(ボラティリティ)
・インフレ率
・代替品の圧力
・その他業界特有のリスク

ステップ②各サブ項目の評価方法の決定

評価するサブ項目を決定したら、それぞれに1点から最大6点で評価できる評価方法を決める。
少し分かりづらくなるが、この時、「自社の財務力」と「業界の魅力度」に関しては、1(最低)~6(最高)で点数を付ける。「自社の競争力」と「業界の安定性」に関しては、逆に1(最高)~6(最低)で点数を付ける。

非常に厳密な定義をする場合もあれば、ざっくりやる場合もある。基本的には、内部環境は競合との比較で評価し、外部環境は他の業界と比較するとよいだろう。

 

ステップ③各項目を評価

各サブ項目を、決めた評価方法にそって、1~6点で評価する。
次に、4つの項目(自社の競争力、自社の財務力、業界の魅力度、業界の安定性)ごとに、サブ項目の点数の平均を取る。これで、4つの項目それぞれに6点満点の点数がついた。

 

ステップ④評価結果をグラフにプロットする

評価結果を、以下の図の通り、プロットする。縦軸は、上に「自社の財務力」と下に「業界の安定性」。横軸は、右に「業界の魅力度」と左に「自社の競争力」だ。
これらがそれぞれ対になっている理由としては以下の論理になっている。自社の財務力も業界の安定性も、どちらも事業の安定性に寄与する。(例えば、業界が安定していなければ財務力が必要)。また、自社の競争力も業界の魅力度も、どちらも自社の利益ポテンシャルに寄与する。
この時、「自社の財務力」と「業界の魅力度」に関しては、1(最低)~6(最高)で点数をつけ、「自社の競争力」と「業界の安定性」に関しては、逆に1(最高)~6(最低)で点数をつけたことを忘れないようにしよう。

ステップ①~④までの結果、最も面積が大きかった象限に記載されているのが、自社の取るべきポジショニングだ。

SPACE分析による4つの戦略の方向性(ポジショニング)

冒頭にも述べた、SWOTとの違いである「とるべき戦略の方向性」について以下で解説する。
順序は前後するが右上→右下→左上→左下の象限の順で説明していくものとする。

Aggressive Position (攻撃的ポジショニング)

右上の象限は、攻撃的ポジショニングだ。右上の面積が一番大きいということは、事業としても安定していて(自社の財務力や業界の安定性の少なくともいずれかが高い)、事業の利益ポテンシャルも高い(業界の魅力度か自社の競争力の少なくともいずれかが高い)ということだ。
一言で言うと、ガンガン攻めるべき時ということだ。シェア獲得に向けて、マーケティング施策を大きく打ってもよいし、買収してもよい。垂直統合に向けて動いてもよい。

Competitive Position(競争的ポジショニング)

右下の象限は、競争的ポジショニングだ。ここの面積が一番大きいということは、業界が安定していないが、チャンスが大きい(利益ポテンシャルが高い)ということだ。この状況でキーとなるのは、自社の財務力を強化することだ。キャッシュフロー強化、コストカットなどによる効率化、などの手がありうる。自社の競争力があるうちに、利益率を高め財務状況を安定させ、業界の不安定さに備えるのだ。

Conservative Position(保守的ポジショニング)

左上は、保守的ポジショニングと呼ばれるものだ。安定しているが伸びていない業界で、財力のある企業であれば、取るべき手は2種類ある。
1つは、製品の競争力を保持しつつ上げることだ。主要製品を守りつつ、新製品の投入などを検討すべきだ。
一言で言うと、むやみに攻めることにリソースを使う(営業強化など)よりも、自社の競争力を上げる(製品開発など)ことにフォーカスするということだ。
もう1つは、事業が利益を生んでいるうちに、その財務力を使って、周辺のより利益率の高い市場に参入するという手だ。業界の魅力度があまりに低い場合はこちらを検討すべきだろう。

Defense Position(防御的ポジショニング)

左下は、防御的ポジショニングと呼ばれる。業界の魅力も自社の強みも低く、財務的にも安定していないようであれば、むやみに投資すべきではない。コストカットによる効率化や、コストをできるだけかけずに競争力を上げることをチャレンジしてもよいが、撤退も検討した方がよい。

 

SPACE分析で、事業の方向性を考える

まとめると、以下の通りだ。
・SPACE分析は、内部環境と外部環境から自社の取るべきスタンスを示唆するフレームワーク。
・内部環境では「自社の競争力」と「自社の財務力」を評価。外部環境では「業界の魅力度」と「業界の安定性」を評価。
・総合的に全て高ければ、攻撃的ポジショニングで、攻める。
・業界が魅力的か自社の競争力があるが、財務力や業界の安定性が低い場合は、競争的ポジショニングで、自社の財務基盤確立にフォーカス。
・財務力があり業界が安定しているが、業界の魅力や自社の競争力が低ければ、保守的ポジショニングで、むやみに攻めず競争力確保に動く。
・いずれも低ければ、防御的ポジショニングで、投資を抑え撤退を検討する。