【初心者必見!】財務分析の前に理解しておきたいこと|オススメ分析のやり方

【初心者必見!】財務分析の前に理解しておきたいこと|オススメ分析のやり方 1024 761 Biz Tips Collection

安定してると思っていた大企業が、実際は、経営の危機に陥っていたというニュースを見たことがあるだろう。ニュースで見た場合は他人事に感じるが、それが自分の会社だったとしたら、明日からの生活に不安になるのではないか。また、ビジネスパーソンに限らず、就活生や株式投資を始めたい方々も、会社の経営状態を客観的にとらえることは非常に重要だ。
財務諸表を使った経営分析(財務分析)は、専門書等も多く発行されているが、ROI・ROE・PERなどのワードが出てきて、アレルギーを起こしやすい。このアレルギーは、そもそも財務分析をする前に理解すべきことを一足飛びにしているために起こる。そのため、今回は財務分析を学ぶ前に理解すべき以下3つのことについて紹介したい。

1. 分析とは何かを理解する
2.分析結果にはパターンがあることを理解する
3.示唆を入れて初めて優秀な分析

なお、分析以前にそもそも財務諸表とは?という状態の方は、まずは「財務諸表とは何か?財務諸表の役割と見方について」を参照頂きたい。

 

おさらい:財務諸表とは?

財務諸表(Financial statements、通称F/S)とは、「企業の経営状態を数値で把握できる資料」だ。そして、財務諸表は以下の4つから構成されている。
①.貸借対照表(Balance sheet、通称B/S)…企業の一時点の財産の状況(財政状態という)を明らかにする表
②.損益計算書(Profit&Loss Statement、通称P/L)…企業の一定期間の利益の状況(経営成績という)を明らかにする表
③.株主資本等変動計算書(Statements of Shareholders’ Equity、通称S/S)…貸借対照表(B/S)の純資産の部の一定期間の変動を明らかにする表
④.キャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement、通称C/F)…企業の一定期間の現金の変動を明らかにする表

財務諸表3表

財務諸表の中でも、特に重要なものが、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書だ。これらは「財務諸表3表」と呼ばれている。この3つの分析をすることが、企業の経営状況を効率的に把握する近道だ。

 

1.分析とは何かを理解する

財務分析に限らず、分析とは「比較すること」することだ。当たり前の様であるが意外とこれを理解いない人が多い。とりあえず、全体の何%か計算してみたり、ROI・ROEなどのフレームワークの計算をするのが典型的な失敗例だ。目的を理解し、そのために必要なもの同士を比較して初めて分析といえる。そのため、分析を始める前に比較する”対象”と比較する”方法”を整理しておくことが重要だ。

では、比較する”対象”と比較する”方法”とはどういったものだろう。普段皆さんが無意識に行っている比較を例に挙げて解説する。例えば、ビタミンの摂取量に不安があり、高ビタミンな食材を購入しにスーパーにいったとする。限られた時間の中で効率的に食材を探し出し購入する場合、どのような思考プロセスを経ているだろうか。

まず、大体の人が何処のコーナーで食材を購入するかを検討するはずだ。これが比較する対象(What)の検討だ。例えば、「A. のり・乾物コーナー」と「B. 果物コーナー」のどちらで食材を探すのが効率的だろうか。
おそらく、「B. 果物コーナー」を探すのが効率的だと感じてたはずだ。それは「A. のり・乾物コーナー」の方が一般的にビタミン包含量の少ないイメージだからだ。

次に「B.果物コーナー」の中でビタミン保有量の多い食材を選定する。どのような基準で選ぶかを考えて食材を選ぶはずだ。これが比較する方法(How)だ。方法としては「a. 目で色合いや鮮度を比べる」「b. 触って大きさや密度を比べる」「c. 品種毎のビタミン量を調べて比べる」などがある。いずれも有効そうであるが、最も定量的かつ客観的に比較できるのは、c. の方法だろう。

このように分析を行うためには必ず「対象(A&B)」と「方法(a&b&c)」が必要だ。恐らく食材探しであれば読者の皆さんも無意識にできているはずだ。しかし、この2つが事前に整理されていないと広いスーパーで生産性のない食材探しを行うことになる。
いざ、財務分析と聞くとROI・ROEの分析方法や計算式を暗記しようとしてしまう人が多い。実は財務諸表の分析も食材購入の例と同様の思考プロセスで成り立っていることを知って欲しい。目的があり、それを明らかにするための比較対象があり、比較する方法が存在するのだ。

比較する対象(What)と目的

比較する”対象”は、その資料を作成する目的に合わせて決定する必要がある。財務諸表3表の作成目的を踏まえると、比較する”対象”は以下が望ましい。

比較する方法(How)

次に比較する”方法”だが、財務諸表を定量的に比較する方法は、大きく以下に分類される。
①時系列の分析(例えば、ある会社の売上高の推移)
②全体と一部の比較(例えば、市場全体とある会社の比較)
③一部と一部の比較(例えば、競合他社とある会社の比較)

 

2.分析結果にはパターンがあることを理解する

分析する方法と対象をシンプルにしたときに得られる分析結果について、触れておきたい。
対象の数字を一定の方法で比較したとき、結果は①増加した/②減少したとなる。そして、増加したことが会社にとって、喜ばしいことであれば「良化」、そうでないなら「悪化」と言い換えることができる。前述した比較対象を見直すと、ほとんどの対象は増えるほど、良化したと言えるものだ(負債合計だけは異なる)。以上を踏まえた上で、分析結果のパターンをまとめると以下のようになる。


分析対象と分析方法をシンプルにすると、当然、分析結果もシンプルにすることができるのだ。

 

3.示唆を入れて初めて優秀な分析

改めて考えてみてほしい。財務分析をやったことがない人でも、分析結果はパターンで仕分けられる。財務諸表を見ながら、「A社は、○○な会社ですね」なんてことは容易に言えるはずだ。ただし、そこで止めてはもったいない。分析結果から、その人なりの示唆ができて、初めて優秀な分析と言える。パターン化された分析結果を並べても、「そんなの見れば分かる」や、「それで何が良いたいの?」と言われるのがオチだ。それについて、具体的に見ていこう。

分析結果から考えられる示唆

例えば、売上高の推移が以下の図のようになっていたとする。

A社の売上高の分析した場合、単純な分析結果は「売上高を時系列で比較したとき、10%ずつ良化している」といえる。しかし、そこにB社の売上高分析、市場全体の分析結果を踏まえると、「市場全体は緩やかに縮小し、シェア50%程度を占めるB社も売上減少が続く、そのような中で、市場シェアが小さいA社は10%以上の売上伸長を達成している」といった、踏み込んだ分析結果になるだろう。さらに想像を膨らませれば、A社は、×5年も売上が伸長するのでは?や、他社が持っていない販売ルートがあるのでは?とか、特殊な営業部隊がいるのでは?といった独自の意見を言うことができる。つまり、財務分析で言う「示唆」とは以下のことを指す。

 

財務分析の前提まとめ

今回の記事で、分析とその結果について、そして、分析結果から考えられる示唆についてご理解頂けたのではないだろうか。まとめると以下のようになる。
①分析=「比較すること」
②分析の”対象”と”方法”は事前に整理すること
③分析結果はパターン化できる
④分析結果を積み上げて「示唆」できてこそ1流
財務諸表という単語だけで、アレルギーを起こす気持ちはよく分かるが、1つ1つの工程は決して難しいことではない。また、「分析」という言葉も曖昧に使われることが多いが、財務諸表に限らず、記事のやり方に沿って試してみてほしい。
また、世の中には「経営指標」といい、財務諸表の数値を用いて、経営状態を分析するツールが存在する(すでに示唆が含まれているツール)。今回は考え方とプロセスまでを理解してほしかったため割愛したが、また別の機会に紹介しよう。