現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法②|シーン別のストーリー構成
現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法②|シーン別のストーリー構成 https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/shutterstock_439214011-1024x683.jpg 1024 683 Biz Tips Collection https://biz-tips-collection.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/shutterstock_439214011-1024x683.jpg良いプレゼンテーションのもっとも重要なポイントはストーリー構成だ。つまり、プレゼンのシナリオ(流れ)がどれだけ聴衆に伝わりやすいかにかかっている。ビジネスにおけるパワーポイントを利用した業務の多くはプレゼンテーションやミーティングにおける情報共有・意思決定がメインだ。これらの目的を意識してプレゼンテーションをより良いものにしていこう。前回の「現役コンサルが語る!プレゼンテーションのたった二つの手法①|シーン別のストーリー構成」にて、ストーリーライティングの2つの方法、目的別の使い分け、TED型の演繹的なストーリー展開について述べた。本稿では、コンサル型の帰納的なストーリー展開、TED型・コンサル型の共通で気にしなければならないことについて述べていくものとする。
コンサル型はトップダウン。帰納的なストーリー展開
コンサル型はトップダウンというのは結論を最初に述べる(コンクルージョンファースト)という意味だ。意思決定・情報共有が目的の場合は結論が明確になっている必要がある。
いわゆる、話の順序の例として「起・承・転・結」、「5W1H」、「序・破・急」などがある。これらはストーリーライティングのフレームワークとしてよくあげられるがすべてTED型である。そのため、共感を煽ることは出来るが行動につなげることは得意でない。なぜなら、回りくどいからだ。
TED型に比べて、コンサル型のストーリーは単純。「増資をするべきです!なぜなら、AがBでお金が足りないからです。」という何をするべきでそれはなぜかという非常にシンプルな構成になる。
比較してみればよくわかると思う。
TED型:
最近、風が強くなって土ぼこりがよく舞っています。この会場にくる際も土ぼこりは目に入りました。
実は私の友人には土ぼこりが目に入り盲人になった人がおり、この土ぼこりの多さでは盲人の方が増えると考えているます。
私の友人の盲人の多くは三味線で生計を立ている方が多いので、今後三味線の胴を張る猫の皮の需要が増えるでしょう。
猫が減るとねずみが増え、そのねずみは桶をかじります。皆さん、チャンスです。桶屋を始めましょう!
コンサル型:
今日皆さんに言いたいのは、桶屋を始めましょうということです。
いま、桶をかじるねずみが増え、桶の需要が急増しています。というのも、本来ねずみを食べて減らすはずの猫が三味線需要の増加で減っているからです。なぜ、三味線需要が増加しているかというと近年の強風の影響により、土ぼこりが舞い、盲人が増加しているためです。いまがチャンスです。風が強くなっているので桶屋を始めましょう!
如何だろうか。TED型を読んだ際、何の話だ?となった方が多いのではないだろうか?そして、あー桶屋の勧誘か・・・という気持ちで終わる。
一方、コンサル型の方は、桶屋を始めるべき!という点がはじめに明確に伝わってくる。聴衆はまずなぜ?と感じるだろ。その後の論理展開に違和感がない場合、「桶屋を始めるのは理にかなっている。」という印象が植え付けられる。
このように、伝えたいことが明確な分、コンサル型の方が意思決定・情報共有というコンセプトを伝える場合においては有利なのだ。
コンサル型の帰納的な論理展開の作り方は以下の通りだ。
図のようにまず結論を述べ、その理由を3点以内で挙げる。その理由をサポートする例はそれぞれの理由を述べるタイミングで補足として述べる。コツは最初で述べたことを最後にまた復唱することだ。ヒトは思っているほど複雑なことを覚えることが出来ない。論理展開や論証が多い場合はなおさらだ。なので、伝えたいコンセプトにインパクトを出すために最初に伝え最後に復唱する。
ビジネスで重要なのは結果、何をするか?なので、基本的なビジネスシーンではコンサル型を活用すると良いだろう。
一部、新規事業立案(新規事業をやりきる気概があるかどうかも新規事業においては重要な意思決定要素のため)や前回の記事で述べたコンセプトを伝えるものについてはTED型のほうが有利だ。
TED型・コンサル型の共通で気にしなければならないこと
TED型とコンサル型に共通して気をつけなければならない点は、緩急をつけることである。
TED型の場合は細かい共感を呼ぶ要素を強調し、コンサル型は伝えたいコンセプトとなぜそうなのかという理由を強調する。
人の集中力は長くづづかないので、より目的に沿ったポイントに力を入れることが重要だ。
TED型であれば「こういう経験はありませんか?」
コンサル型ではあれば「Xだ!な・ぜ・な・ら!~」
といったようにだ。
あるべき論に囚われすぎないように
一般的に言われているプレゼンテーションのあるべき論はそのメソッドの有用性ばかり語り、どのような場面でその手法を使うべきかについて触れていないものが多い。本稿で解説したようにプレゼンテーションの目的を必ず明確にして、こういう目的だからこのプレゼン手法を選択したといえるようになっていただきたい。
なお、共感を呼んで、意思決定を促すというより高度なプレゼン手法も存在する。しかし、分解すると共感パートと意思決定のための説得パートに構成を分けているだけだ。まずは基本をしっかり押さえ、どのような目的にはどちらの手法というところをしっかり抑えて欲しい。
以下、本稿のまとめをして締めくくりとする。
・プレゼンの目的は共感または意思決定(+情報共有)
・共感=TED型、意思決定=コンサル型
・TED型はボトムアップの演繹法
・コンサル型はトップダウンの帰納法