思考スキル

「アドバンテージマトリクス」と4つの事業タイプとは?| 事業環境分析フレームワーク
「アドバンテージマトリクス」と4つの事業タイプとは?| 事業環境分析フレームワーク 1024 768 Biz Tips Collection

事業の戦略を考える上で、まず事業環境の分析が必要だ。そのための手法は様々あるが、その1つであるアドバンテージマトリクスについて解説する。

 

アドバンテージマトリクスは業界の競争環境を分析するフレームワーク

事業の戦略を決めるため、業界の競争環境を分析するフレームワークの1つとして、アドバンテージマトリクスがある。後述するが、規模の経済と差別化という観点から分析するフレームワークとなっている。

アドバンテージマトリクスでは、2つの軸で、事業を4つのタイプに分類する。
2つの軸は、「競争優位性の規模」と「競争優位性獲得のためのアプローチ数」だ。

  1. 特化型事業
  2. 分散型事業
  3. 規模型事業
  4. 手詰まり型事業

これらの4つに分類する。

 

「競争優位性の規模」とは?

「競争優位性の規模」とは、確保した競争優位性をどれほど規模化できるかだ。簡単に言うと、規模の経済が働く事業かどうかだ。(よく日本語では「優位性構築の可能性」と訳されているが、元々英語では「Size of Advantage」であり、規模の経済への言及である。)

「競争優位性獲得のためのアプローチ数」とは?

「競争優位性獲得のためのアプローチ数」は、その名の通り、競争優位性を獲得するための手段がどれくらいあるかだ。少なければ勝敗は単純に決まる。よく競争上の戦略変数とも訳される。言い換えると、どれほど差別化方法があるかだ。
例えばある業界ではコストだけが決め手かもしれないが、加えて商品特性、立地、ターゲットなど様々な差別化方法がある業界もあるだろう。

このように、2つの主流な経営戦略であった「規模の経済」と「差別化」の両方の可能性について、1つのグラフで分析したのが、アドバンテージマトリクスだ。

それでは、このマトリクスで分類された4つの事業をそれぞれ見ていこう。

 

規模型事業とその具体例

規模の経済が効き、競争優位性構築へのアプローチ方法が限られている(差別化要因が少ない)事業は、そのまま規模型事業と呼ばれる。言い換えると、競争要因がほとんど規模しかないと言える。明確な業界リーダーとしての大企業がいる業界となる。

例えば鉄鋼や自動車などが該当する。これらでは、製品での差別化が比較的難しいため、規模を追求する形になる。M&Aなども規模を追求するためのよくある選択肢の1つだ。

この事業タイプでは、シェア拡大が最も重要なゴールとなる。

 

分散型事業とその具体例

差別化要因が多くあり、規模の経済が効かない事業は、分散型事業と分類される。シェアが伸びてもROIやコストに大きな影響がないため、規模を大きくしにくい業界だ。「多数乱戦業界」とも呼ばれるように、大企業がほとんどなく、小さなプレーヤーがたくさんある状態だ。新規参入も多くなりがちだ。

例えば、飲食店や美容室、士業などは、多様なプレーヤーが様々な差別化をしながら、明確なリーダー企業はなく戦っている。

もちろん規模拡大がしにくい業界だからといって、全くできないわけではない。飲食店チェーンなどはその一例だ。しかし、基本的には無理に規模化せずほどほどの収益性を保つのが基本戦略となる。

 

特化型事業とその具体例

特化型事業は、差別化の可能性と規模化の可能性がある事業タイプだ。このような事業タイプでは、独自のポジショニングに特化することで収益を上げている企業が多数存在できる。それぞれの特化領域でそれぞれの規模で収益を上げているため、市場シェアと収益性は相関しない。

わかりやすい例が雑誌だ。雑誌はジャンル毎にその中で強いプレーヤーが存在できる上、それぞれが規模化することが可能だ。(ニッチすぎるジャンルでない限り。)専用機器メーカーも、各専用の用途毎にプレーヤーが生存できている。

この事業タイプでは、特化できる領域を見つけることが基本戦略となるだろう。

 

手詰まり型事業とその具体例

手詰まり型事業は、規模の追求も差別化も難しく、どのプレーヤーも収益性を上げにくい状態にある事業だ。このような業界では、中小企業は淘汰され残った大企業も苦しんでいるという状態になりやすい。

肥料などは1つの例だ。多くのコモディティ化した素材業界も、大規模化の限界を向かえ、手詰まり型事業となっている。

基本的には、参入しない方がいい。

 

まとめ

  • アドバンテージマトリクスでは、2つの軸で、事業を4つのタイプに分類する
  • 2つの軸は、「競争優位性の規模」と「競争優位性獲得のためのアプローチ数」
  • 「規模型事業」=競争要因がほとんど規模しかないため、明確な業界リーダーがいる業界となる
  • 「分散型事業」=差別化要因が多くあり、規模の経済が効かないため、中小企業で寡占している
  • 「特化型事業」=差別化の可能性と規模化の可能性があるため、独自のポジショニングに特化することで収益を上げている企業が多数存在できる
  • 「手詰まり型事業」=規模の追求も差別化も難しく、どのプレーヤーも収益性を上げにくい状態になっている
業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは?
業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは? 1024 682 Biz Tips Collection

よく振り返りをするべきと言われるが、実際に振り返っても意味があったのか実感できないことが多くないだろうか。振り返りはぼんやり行っても意味はない。チームとしての場合も、個人としての場合も、振り返りを行う際はその指針として、簡単なフレームワークが1つあれば、考えるべきポイントが明確になる。

今回はそのための基本的なフレームワークを1つ紹介する。

 

KPTとは、Keep,Problem,Try

KPTは、もともとはシステム開発のプロジェクトなどで使われていた、振り返りのためのフレームワークだ。

KPTは以下の略となる。振り返る時はこのK→P→Tの順序でするとよい。
K= Keep(続けること)
P= Problem(問題があること)
T= Try(新しく取り組むこと)

たったこの3つの基本的なフレームワークだが、振り返るべきところが明確になり効率的だ。

逆に明確な指針なしの振り返りは、ただの感想になってしまいがちだ。

KPTは、プロジェクトの業務改善の一環でチームとして振り返る場合も、個人的に振り返る場合も有効だ。

もともとはチームで実施されることが多いフレームワークで、その場合はホワイトボードなどに以下のような枠を作って実施することが多い。

振り返るそれぞれの項目について見てみよう。

 

Keep (続けること)

Kでは、良かった/うまくいったので継続することをリストアップしていく。
チームで振り返る場合でも、個人的にうまくいったことをシェアしてもよい。

ポイントは、ただ良かった結果だけを挙げるのではなく、その結果に結びついた行動を挙げることだ。
(もちろん、結果を挙げてはいけないわけではない。まず結果を挙げて、どの行動がよかったのか考える順序でもよい。)

 

Problem(問題があること)

Pでは、問題があることを書き出していく。
以下のようなものが含まれるだろう。

  • 実際に問題が発生したこと
  • 不安なこと、リスクを感じること
  • よりよくできそうなこと、工夫できそうなこと

気をつけることは、個人の責任を追及するような会議にしないことだ。

犯人の吊るし上げでなく、あくまでチームとしてどんな課題があるかを考えよう。

 

Try(新しく取り組むこと)

Tでは、次に新しく試すことを書き出す。
Problemで上がった問題点の改善策などでもよいし、やったらいい気がしていることでもよい。
たくさん上げていき、最後にいくつかに絞って実行するのがよいだろう。

また、KPTを使った振り返りを複数回実施する場合は、挙げられたTryを次回のKeepやProblemで見直すとよいだろう。

 

まとめ

  • KPTは、振り返りを有意義にするためのフレームワーク
  • K→P→Tの順序で振り返りを実施
  • KはKeep(良かったので、このまま続けること)
  • PはProblem(問題のあること、改善すべきこと)
  • TはTry(新しく取り組むこと)
意図的な論点すり替え!「燻製ニシンの虚偽(レッドへリング)」とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ
意図的な論点すり替え!「燻製ニシンの虚偽(レッドへリング)」とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ 1024 725 Biz Tips Collection

世の中は詭弁に溢れている。中には、それらしい論理ですらなく、うまく話や論点をそらそうとしてくる人もいる。そのためのテクニックが「燻製ニシンの虚偽」(Red Herring)と呼ばれる技だ。詭弁は知ることで対策することができる。今回はこの「燻製ニシンの虚偽」について解説する。

 

「レッドへリング」は、重要な論点から相手の注意をそらす技法

Red Herringの直訳は、赤いニシンだ。ニシンの匂いに気を取られて、本来の獲物を忘れてしまう猟犬の話が、語源になっている。

このニシンのように、本来の重要な論点とは外れているが、相手が食いつきそうな話題などを使って、論点をすりかえるテクニックが「燻製ニシンの虚偽」だ。
うまくいけば、本来の話題を忘れさせることができるし、脱線した話を使って議論に勝ったように周囲に見せることも可能だ。

話をそらせる方法はたくさんある。
実際、これまで紹介した詭弁のいくつかも、定義によっては燻製ニシンの虚偽の1つに分類できるだろう。
そのため全てを網羅することはできないが、いくつかのバリエーションを紹介しよう。

 

①無関係の話を持ち出す

一見関係しそうで、どうでもいい話を始めるのが、最も分かりやすい燻製ニシンの虚偽だ。
いくつか例を見てみよう。

A「Cさんは、仕事を頑張ってくれているし、成果を上げるだろう。リーダーに選出されるにふさわしい」
B「それはどうだろうか。Cさんの女性関係はルーズだからねぇ」

Cさんの女性関係は、仕事の成果を上げるかどうかとは、通常無関係だ。
しかし、女性関係は話題としてバズりやすいので議論をうまく脱線させてしまうかもしれない。

A「遅刻はやめましょう」
B「君だって先月遅刻したじゃないか」
A「いや、あれはこれこれこんな理由があって、、」
いわゆる「お前もな」のような議論も、論点をそらす技の1つだ。Aさんも遅刻したかどうかと、Bさんの遅刻の是非は、論理的に全く関係ない。しかし上の例では、Aさんはそのことをうまく指摘できずに、自分の遅刻の言い訳に話をうまくそらされてしまった。

A「A国が伸びるから、進出すべきだ」
B「みんな、Aさんは上司にゴマすってばかりで自分の意見なんて何もないよ。だから言ってることをまともに受け取る必要はない」
話し手の人格攻撃もこの一種だ。
本人の意見と本人の人間性は本来無関係だが、論点を本人の人間性の話に変えてしまうのは反対派の常套手段だ。

 

②そもそもの議論にすりかえる

A「浮気をするなんて倫理的に間違っている。」
B「でも、そもそも倫理とは何なんだい?」
A「それは皆が従うべき規範だろう。」
B「誰がそんなもの決めたんだ?自然界に倫理なんてあるのかい?」

上記の例では、浮気をしたことに対する是非の話をしていたはずだが、Aは途中でBにひっかかり、倫理とはの話になってしまっている。

意図的にとぼける技もある。
「ちょっと何言ってるかわからない」
「そもそも論点が不明確だ。ちゃんと話をまとめてくれ」
「よくわからないな。その話は今すべきなのか?」
このようなテクニックは、本題の議論をうまく避けて、そもそもの論点をどこにおくべきか、今この話をすべきかどうか、を論点に変えてしまうことができる。また、相手を馬鹿っぽく見せて、議論で負けたように見せることも可能だ。

 

③どうでもいい詳細に食いつく

そもそもの議論にすり返ることの逆パターンで、どうでもいい詳細な話にくいついてしまうテクニックもある。
重箱の隅をつついたり揚げ足をとったりする手法だ。

A「・・・ということで、A事業を推進するべきだと思います」
B「ちょっと待ってくれ、3ページのアンケートは母数が少なすぎないか?統計的にはこのサンプル数では本当にそうと言えるのだろうか。そもそもの属性の偏りも確認しているのか?」
この3ページのアンケートが、全ての議論の土台となるものであったら、このツッコミは正しいかもしれない。しかし、全体の議論に大きく影響しないものであったら、そこの是非ばかり議論することは本筋の妥当性とあまり関係ない。

A「ツールを見直すべきだ。使いづらすぎてみんなの効率性が下がっている。これだったら、全部手書きの方がマシだ。」
B「おいみんな、Aさんは何でも手書きがいいというアナログな人だからな。そんな古い考えの人の意見なんて真に受ける必要はないぞ。」
このように、ちょっとした例え話などに食いつく形もある。

 

まとめ

このように、燻製ニシンの虚偽(レッドへリング)は、重要な論点から相手の注意をそらす技法だ。まともな議論を避けて相手を倒そうとするずるい戦術だ。

対策は、常に今は何の議題なのか意識することだ。そうすれば、本筋から外れていればしっかりそれを指摘して議論を戻すことができる。

ちなみに、共通してよく見られる1つのテクニックは、逆質問だ。論点をずらした逆質問をされた時は、それが本題とずれていることを指摘しよう。

「詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ」では、他にも以下を紹介している。
浮気は生物学的にOK?「自然主義的誤謬」とは?
合成の誤謬と分割の誤謬とは?
権威に訴える論証の解説と例
わら人形論法(ストローマン)とは?種類と例
循環論法とは?具体例と悪用方法
もっともらしいが間違った比較7種
軽率な一般化とは?例と気をつけ方

B2B営業の受注見込み度を測る!BANT条件とは?
B2B営業の受注見込み度を測る!BANT条件とは? 1024 1024 Biz Tips Collection

営業案件の獲得確度は、営業担当としても、部署としても、把握すべき重要な内容だ。それ次第で、案件の優先順位や着地見込み、営業計画などが変わってくる。
しかし、営業の現場では、営業担当に獲得確度を聞いても感覚値しか返ってこない、むしろ営業担当者もどれぐらいの可能性で案件獲得の見込みとなるかよくわかっていないということがよくある。
そんな時に使えるフレームワークがBANT条件だ。

BANT条件は、Budget、Authority、Needs、Timeframe

BANTは、営業担当が受注見込み度を測るためのB2Bセールスにおけるヒアリングテクニックだ。

BANTは以下の頭文字の略となる。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)

この4つのどれかが欠けると、少なくともすぐにの受注確度はかなり低くなる。
これが「条件」と呼ばれる理由だろう。
1つずつ見てみよう。

 

Budget(予算)

自社製品を購入するための予算があるのかを確認する。
全く予算がない、予算があっても自社製品の金額感と合わない、などの顧客では当然受注見込みが低い。
予算がこのために組まれていなくても、いつどんなプロセスで予算確保されるのか、予算確保される可能性はあるのか、把握することが重要だ。

Authority(決裁権)

営業では当然、決裁権限を持つ人物へのアプローチが最も近道だ。
逆に決裁権がない人物への営業ばかりしていては、どうしても効率が悪くなる。
「誰が実際に決裁権を持つか」、「その人物にアプローチできるか」、「目の前の人物が決裁権を持っていなくても持っている人にどう間接的にアプローチできるか」を聞き出すことは営業を効率的に実行するために重要だ。
見込み顧客の意思決定フロー・どんな稟議を通るのかをうまく聞きだせるとよいだろう。

 

Needs(必要性)

当然すぎることだが、相手に本当にニーズがあるかは確認すべきだ。
自社製品と先方のニーズのギャップがないか、よく確認しよう。

また、この時、目前の担当者個人だけの要望なのか、組織全体としてのニーズであるのかは意識しよう。
目前の担当者の個人的な要望に過ぎない場合、うまく予算が確保されないなどの可能性もある。
誰のニーズなのか(個人・会社として・部署として等)は、把握できるに越したことはない。

加えて、ニーズが具体的なのかぼんやりとしているのかも1つの確認ポイントだ。

Timeframe(導入時期)

製品の導入時期について決まっているかも確認すべきだ。
会社としてニーズはあり、いつかは導入すべきだが、今は他の優先順位が高いことに予算もリソースもかかりきりという状況もありうる。逆に、二ヵ月後にはこのような商品を導入したいと予定が決まっていれば、受注確度は高い。
一方で、他の優先順位が明確にあるわけでなく、なんとなく時期が決まっていないだけの場合は、営業担当が能動的にスケジュールを提案していってもよい。

 

BANT条件の活用方法

案件の受注見込み度を知ることで、優先順位の高い顧客を中心に営業を掛けて行く作戦を立てることができる。
これにより、営業活動全体をより効率的にしていくことが可能だ。
そのために必要な情報として、BANTの4つがあり、各法人営業担当がこれらを確認することを意識すれば、各案件の受注見込み度をしっかり把握できるようになる。

各営業員が自身の案件をしっかり把握できるようになることに加えて、営業部署として以下の2点のメリットがある。

1つは、案件受注確度の共通認識化だ。
よくこんな会話を聞かないだろうか。

「この案件確度どうなの?」

「多分行けそうなんですけどねー」

上司はよく案件の確度を気にしているが、それに対する答えはいつも営業担当の感覚になってしまう。
人によっては大げさに伝えておいたりする。そのため、あまり当てにならない場合が多い。
一方、BANT条件のようなフレームワークが部署としての共通認識になっていれば、より正確な受注見込み度を伝えることが可能だ。例えば、「決裁者にアプローチできていてニーズはあるようなのですが、予算化して導入するのは来期になるようです。なのでそれまで薄く繋がっておこうと思います。」と答えた方が、より正確な受注見込み度が伝わるだろう。

2つ目は、これらの情報をまとめて、部署として案件をセグメント化・整理が可能になることだ。
そうすれば、経営層や営業部署リーダーは、ひと目でどれくらいの案件がどれくらい受注見込みなのかがひと目でわかる。
そしてそれに応じて案件の優先順位を決めたり、来期の営業計画を立てることが可能だ。

 

BANT条件の注意点

BANT条件は、あくまで営業のヒアリング項目だ。
よくある間違いだが、マーケティング部門の道具ではない。
例えば営業がしっかり各案件のBANT条件をデータベースに入力していて、そのデータをマーケティング部門が活用するなら問題はないだろう。

しかし、マーケティング部門が率先的にBANT条件のデータを取りに行くのは基本的にうまくいかない。BANTは直接聞かないととれないデータだからだ。
マーケティング部門が、セミナーや展示会の参加者にアンケートでBANTの情報を聞き出そうとしても、正確な答えは通常返って来ないだろう。

また、BANT条件は見込み度を測り比較できる数値ではあるが、BANT条件が満たされないから見込み度が全くゼロというわけではない。あくまですぐには受注しなさそうだということなので、すぐに案件を捨てるべきとは限らない。

 

営業する時は、BANTをうまく聞き出そう

BANTは、受注見込み度を測るための、B2B営業におけるヒアリングテクニックで、以下の4つを聞き出すものだ。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)
これらをしっかり聞き出すことで、案件の見込み度がわかり、部署としても管理可能となる。

浮気は生物学的にOK?「自然主義的誤謬」とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ
浮気は生物学的にOK?「自然主義的誤謬」とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ 1024 717 Biz Tips Collection

浮気は生物学的に許される?遺伝子改良は不自然だから間違っている?
世はこのような詭弁にあふれている。論理的に間違っていることをしっかり見抜くには、どんな詭弁があるか頭に入れておくのが早道だ。今回は、自然主義的誤謬(自然主義の誤謬)を紹介する。

 

自然主義的誤謬とは、「である」から「であるべき」に飛躍すること

よくある例を見てみよう。以下のような主張を聞いたことはないだろうか。

「オスはできるだけ多くのメスを追いかけて、より多くの子孫を残すように遺伝子レベルでインプットされている。男が浮気をするのは生物学的にしょうがない。浮気を許すべきだ。」

確かに、オスは遺伝的に浮気しやすいようにできているだろうし、また自然界では一夫多妻の動物の方が多かったりするかもしれない。しかし、そう「である」という事実から、そう「であるべき」という規範は、論理的には導きだせない。

このように、「である」こと(物事の自然な状態)を、ゆえに「であるべき」だ(物事のあるべき状態)と、話を飛躍させるのが、自然主義的誤謬だ。
「である」事実としては、自然界の事柄に言及される場合が多い。

 

自然主義的誤謬の例

いくつか例を見てみよう。

「弱肉強食が自然界の摂理だ。弱者を救う制度はいらない。」
自然界がそうだからといって、人間が作り上げた制度が悪いとはならない。

「我々はずっとこの土地で暮らしてきた。なのでこれからもそうすべきだ。」
ずっと暮らしてきたのは事実だが、未来のあるべき論の根拠にはならない。

「女性が子育てをするのは、哺乳類として自然なことだ。女性は家庭を見て仕事は男性に任せるべきだ。」
別に人間がこれまでの哺乳類に合わせる必要はない。

「生命が死ぬのは摂理。死を受け入れるべきだ。」
これまで皆死んできたからといって、不死や長寿化の研究をするべきでないわけではない。

自然主義的誤謬の1つの注意点は、「である」事実から「であるべき」規範が論理的に導きだせないと言っているだけで、必ずしも文が間違っているとは限らないことだ。
例えば以下の文言は、大多数は正しいと同意するだろうが、論理的には正しくない。
「群れで生きる生物はみな協力しあうようにできている。なので、俺達も個人プレーにならずに互いに協力すべきだ。」

 

自然に訴える論証

自然主義的誤謬と非常に近い詭弁に、「自然に訴える論証」がある。
ほぼ同じなので、多くの場合多少混同しても問題ないが、厳密には論理構成に以下の違いがある。(分ける人と同じものとして扱う人がいる。)

自然主義的誤謬:
AはBである
ゆえにAはBであるべきだ

自然への訴え
隠れた前提:自然であるものは正しい/善い、もしくは自然でないものは間違っている/悪い
Aは自然である
ゆえにAは正しい/善い

自然に訴える論証の例:
「大麻は自然界に存在するものだ。悪いもののわけがない。」
この論理では、トリカブトだって摂取してOKになってしまう。

「遺伝子改良された食べ物は自然界に存在しない。ゆえに廃止すべきだ。」
この論理展開もよく見るが、そんなこと言ったらそもそも農業も育種法も自然界に存在しない。

 

事実→規範は論理的に繋がらない

このように、自然主義的誤謬とは、「である」こと(物事の自然な状態)を、ゆえに「であるべき」だ(物事のあるべき状態)と、話を飛躍させることだ。

こういったもっともらしい主張は、男女の役割や、遺伝子改良などの新技術といった、様々な分野で横行しているので、気をつけよう。

「詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ」では、他にも以下を紹介している。
合成の誤謬と分割の誤謬とは?
権威に訴える論証の解説と例
わら人形論法(ストローマン)とは?種類と例
循環論法とは?具体例と悪用方法
もっともらしいが間違った比較7種
軽率な一般化とは?例と気をつけ方

【3分】2つの論理展開-演繹法・帰納法を使いこなそう!解説と例
【3分】2つの論理展開-演繹法・帰納法を使いこなそう!解説と例 1024 682 Biz Tips Collection

ロジカルシンキングができるようになるには、基本的な論理展開を理解する必要がある。

推論のための論理展開は実は2種類に集約され、それが演繹法と帰納法だ。それぞれの内容と違いを解説する。また、注意点をおさえることで、間違った使い方を避けることができるだろう。

帰納法は、複数の観察事項から共通点を見出し、結論を出す手法

帰納法では、様々な事例や事実から見出した共通点から、結論を出す論理展開だ。

例えば、観察事項が「Aさんが死んだ」「Bさんが死んだ」「Cさんが死んだ」だとする。
それらの共通点は、みんな「人間であること」と「死んだ」ことだ。
なので、帰納的に「人間は死ぬ」と結論を出すことができる。

帰納法の注意点

帰納法の注意点は、あくまで統計であり、必ずしも正しいとは言い切れないことだ。
例えば、たまたま食べた100個のアボカドがおいしかったからと言って、「アボカドはおいしい」という結論を帰納的に出しても、どこかにまずいアボカドが存在する可能性は論理的には否定できない。

そのため帰納法で重要なのは、納得感だ。観察事項が少なすぎたり偏りがあると、納得感に欠けてしまう上、結論が間違っている可能性が高くなる。
帰納的に推論を出す場合は、反証や例外がないか確認しよう。

 

演繹法は、観察事項にルールを結び付けて、結論を出す手法

演繹法では、まずルール(一般的で普遍的な事実)を前提にして、観察事項に当てはめて結論を出す論理展開だ。

例えば、前提のルールとして、「人間は死ぬ」とわかっているとする。
観察事項として、「Aさんは人間だ」とわかる。
だとすると、人間は死ぬので、「Aさんは死ぬ」と結論を出すことができる。

演繹法の注意点

演繹法は、ルールを前提に論理を展開するため、そもそもルールに間違いがあると破綻する。
例えば、「値下げをすると売れる」⇒「商品Aは値下げした」ので、「商品Aは売れます!」と説明しても、そもそも本当に「値下げをすると売れる」という前提が正しいのか微妙なところだ。例えば価格以外の性能で絶望的に負けている可能性もある。

逆に、前提のルールさえ正しければ、帰納法と違って、真理だと言い切れるのが演繹法なので、前提の正しさは一度疑うようにしよう。

 

まとめ

・論理展開は2種類ある
・帰納法は、複数の観察事項から共通点を見出し結論を導き出す展開
・帰納法の注意点は、観察事項が少なかったり偏りがあると、間違った結論になりやすいこと
・演繹法は、ルールと観察事項を結びつけて結論を導き出す展開
・演繹法の注意点は、前提となるルールがそもそも間違っていると、論理破綻すること

ロジカルシンキングにおいて、情報から新たな結論を出す際の基本となるのが、これら論理展開だ。どんなものであるかとその注意点を覚えておこう。

ロジックツリーとは?3つの種類と使いこなすためのコツや注意点を解説!
ロジックツリーとは?3つの種類と使いこなすためのコツや注意点を解説! 1024 682 Biz Tips Collection

ロジカルシンキングの代表的な手法である「ロジックツリー」。あらゆる分析・問題解決において一段上の解を出せる、応用性の高い手法だ。

 

ロジックツリーとは

大きな問題はそのままでは中々手に負えない。大きな問題を、取り扱いやすい小さな問題まで分解する必要がある。しかし、思いつきで問題を特定してもキメ打ちになってしまう。全体を抑えながら構造的に分解していくのが重要だ。

ロジックツリーとは、こんな時に物事を構造的に分解して考える技術だ。全体-要素を樹形図に表現して考える。

例えば、以下のようなものがロジックツリーだ。全体からより詳細へと、階層を作りながら構造的に整理されているのがわかるだろう。

ツリーの分解は、MECE(モレなくダブりなく)を意識しよう。
MECEについては「論理思考の基本MECE(ミーシー/ミッシー)とは?!例や注意点を解説!」の記事で詳細を確認可能だ。

ロジックツリーを使って、物事や解決策を分解・整理することにより、以下のようなメリットがある。
・議論の「広がり」と「深さ」を効率よく追求できる。
・全体を抑えた構造になっているため、ヌケモレなく議論が可能になる。
・階層になっていることにより、いきなり細かい点の議論にならず、論点が明確になる。
・階層になっていることにより、施策の効果や因果関係が構造的にわかる。
(例えば、[売上増]-[顧客単価UP]-[購入点数UP]-[セット陳列]と階層的に整理されているため、[セット陳列]という施策が売上増の中でも[顧客単価UP]に効く施策だと明確になる。)

 

3つのロジックツリーの種類

実はロジックツリーには3つの種類がある。
3種類のツリーが混同されているツリーを作り、結果的に整理されていない構造を構築している人が多いので注意してほしい。

①What(全体―部分)のツリー
②Why(問題―原因)のツリー
③How(目的―手段)のツリー

①What(全体―部分)のツリー

全体を構成要素に分解して、分かりやすく整理するのが、Whatのツリーだ。
例えば、以下のどんなターゲットを狙うべきか特定したい、どんな顧客が一番コストがかかっているか分析したいからまず顧客の種類を洗い出したい、といった時に使える。

 

②Why(問題―原因)のツリー

問題の原因を見つけたい場合は、Whyのツリーだ。
最上位に来るのが問題で、「なぜそうなったのか」掘り下げていく。
いわゆるなぜなぜ分析で利用されるロジックツリーだ。
例えば、売上が下がっているのがなぜかを特定したい時に、ありうる原因を洗い出していく。

初めの例は、このWhyのツリーだ。

③How(目的―手段)のツリー

達成したい目的に対して、有効な解決策を見つけたい場合は、Howのツリーだ。
「どうすれば達成できるか」を掘り下げていく。
売上を上げる方法を洗い出す時などに使える。

 

ロジックツリーを使いこなすには?コツや注意点

ロジックツリーは、一見単純な図のように見えるが、使いこなすにはいくつかコツや注意点がある。

MECEに分解する

重要なので繰り返しになるが、分解はMECEにするべきだ。
一番最後の分解において、具体的な施策をいくつか取り上げたら完全にはMECEにならないこともあるが、少なくとも上位概念のMECEは必須だ。

 

違う切り口をまぜない

例えば、Whatのツリーの例では、問い合わせを「誰から」の問い合わせかの切り口で分解している。
他にも「どんな内容」の問い合わせかで分解することも可能だ。どっちが有効化は、ロジックツリーを作る目的によるが、どっちかの切り口で統一することが大切だ。途中から違う切り口を混ぜるのは基本的に止めよう。

同階層の切り口の粒度を合わせる

階層の粒度を合わせないと、うまく構造化された状態にならない。
例えば以下のようになってしまっては駄目だ。

枠組みから考えたり、逆に具体例から考えたりをしながら作成する

いざロジックツリーを作ろうとすると、以外と思いつかず難しかったりする。
そんな時のポイントは、トップダウンとボトムアップの両方向から考えてみることだ。
トップダウンでは、全体から要素へとMECEに分解していく。これが基本だが、もし詰まった場合は、ボトムアップ的により階層の低い具体例を出していき、その上位概念が何か考えてみよう。
また、例えトップダウンで最後までツリーを描けたとしても、ボトムアップで例外はないか具体例を考えてみるのは、モレがないかのチェックとして有効だ。

 

まとめ

ロジックツリーとは、物事を構造的に分解して考える技術だ。全体-要素を樹形図に表現して考える。
ロジックツリーには3つの種類がある。
・What(全体―部分)のツリー
・Why(問題―原因)のツリー
・How(目的―手段)のツリー
使いこなすためのコツや注意点は、
・MECEに分解する
・違う切り口を混ぜない
・同階層の切り口の粒度を合わせる
・枠組みから考えたり、逆に具体例から考えたりをしながら作成する

そして最後に、ロジックツリーはツールだ。
どんなツールもそうだが、利用する目的をしっかり意識しよう。
目的さえはっきりしていれば、どの種類のツリーを使うべきか、どんな切り口で分解すべきか、判断できるだろう。

論理思考の基本MECE(ミーシー/ミッシー)とは?!例や注意点を解説!
論理思考の基本MECE(ミーシー/ミッシー)とは?!例や注意点を解説! 1024 682 Biz Tips Collection

ロジカルシンキングの1つ重要なことは「分解」・「構造化」することだ。MECE(ミーシーやミッシーと呼ばれる)は、この基礎となる概念だ。あらゆるフレームワークにもこのMECEの概念が使われている。MECEな考え方ができるようになることで、論理思考力を向上できるだろう。

 

MECE(ミーシー/ミッシー)とは、「モレなくダブリなく」のこと

MECEは、以下の略だ。
Mutually Exclusive (お互いに重ならない=ダブリなし)
Collectively Exhaustive(全体で網羅的=モレなし)

物事を分解する際に、抑えるべき概念だ。
図でまとめると以下のようになる。

例えば、新製品のターゲットにすべき層を決めるために選択肢を洗い出すとしよう。
顧客ターゲットをMECEに分解するには、以下のようなカテゴリへの分け方ができる。
・年齢別(0~9歳、10代、20代、・・・)
・在住地域別(東京都、北海道、神奈川県、・・・)
・血液型(A型、B型、AB型、O型)
どれも全ての人間をカバーでき(モレなし)、一人の人間は必ずどれか1つのカテゴリに入っている状態になる(ダブりなし)ことに気づくだろう。

 

MECEがなぜ重要か

そもそも、モレなくダブリなく分解することは、なぜ重要なのだろうか。
MECEにより、しっかり情報の全体像を把握でき、議論をわかりやすくし、大事な要因の見落としをなくすことができる。

いくつか悪い例を見ていこう。

例えば、ある小売店の赤字が続いているので、原因を特定したいとする。
思いつきで原因の候補をあげてしまうと例えばこのようになる:
競合店に客が取られている、客に飽きられた、商品単価が下がった、いい商品が仕入れられていない
これでは、売上に関する項目のみで、赤字の原因の可能性であるコスト増が検討すらされていない状態になってしまう。
検討した結果ターゲットから外すのと、検討し忘れるのは大きな違いがある。
小売店の赤字の原因をMECEに分解していくと、まず「売上減」と「コスト増」があり、そこから更に分解していけば、「売上減」から「顧客減」と「単価減」に分解して、というようにモレなく原因の候補を洗い出すことができる。
こうして議論はモレをなくすことで、結論がキメ打ちになることを防げるのだ。

また、売上見込みを出す場合はどうだろうか。
いきなり数値が出せないので、分解してそれぞれの数字を足し合わせるとしよう。
「地域Aの売上」、「地域Bの売上」、「新商品の売上」
この分解でそれぞれの売上見込みを出しても、「地域Aの売上」と「新商品の売上」にダブリがあるため、足し合わせると地域Aかつ新商品の売上見込みが多めに足されてしまう。この要素で足し合わせても、出したかった全体の売上見込みが出せないのだ。

 

MECEで注意すること

MECEに分解する際は、以下のようなことに気をつけよう。

全体が何か意識する

そもそも何を分解しているのかはしっかり意識しよう。
例えばあなたがコーヒーチェーンのオーナーで、市場を分析したいとする。
この市場の定義を「コーヒーチェーン」と置くのか、「飲食店」と置くのかで、どう分解すべきかは大きく変わってくる。
「コーヒーチェーン」にとってMECEな分け方は、「飲食店」にとってはモレだらけになるだろう。

 

分析の目的に合った切り口で分解する

MECEはあくまでツールだ。なんでもMECEにさえなっていればOKというわけではない。
顧客ターゲットを分析する際、先ほど血液型での分解を例に上げた。確かにMECEな分解になるだろう。しかし、血液型で分けたことで何か有意義な結論が出せるだろうか。(よしA型をターゲットにしよう!となるだろうか?)血液型占いを信じていない限り、通常の答えはNOだろう。
極論、「何か」と「その他」に分ければ、ほとんど何でもMECEになるが、その分解によって意味のある結論が出せるのか、一度考えてみるべきだろう。

 

切り口の定義を明確にする

曖昧な切り口では、しっかりMECEにならないし、各自が違う認識をしてしまうのでコミュニケーションが阻害される。
例えば飲食店の売上を時間別に分析するとする。「朝」「昼」「夕」「夜」と分けてしまった場合、20時は夕だろうか、夜だろうか?

 

MECEはロジカルシンキングの基本!

ロジカルシンキングの1つ重要なことは「分解」・「構造化」することだ。
あらゆる論理展開において、分解された概念1つ1つが、積み木のパーツのようなものだ。ここがしっかりMECEに分解されておらずあやふやなままだと、論理展開がしっかりしていても結論まであやふやになってしまう。
日ごろから、MECE(モレなしダブリなし)を心がけよう。

最低限これさえ抑えれば伝わる!プレゼンの基本構成「PREP法」
最低限これさえ抑えれば伝わる!プレゼンの基本構成「PREP法」 1024 682 Biz Tips Collection

商談、社内会議、飲み会の挨拶など、社会人になると細かいプレゼンをする機会が大量にある。話がまとまらず、うまく伝わらなかったりする経験はないだろうか。ほとんどの場合、構成さえ意識して基本の流れができるだけで、話は一気に伝わるようになる。今回は、最低限これさえ覚えておけば大体のプレゼンに応用できる「PREP法」を紹介する。

PREP法とは、Point、Reason、Example、Point

プレゼンで話を伝える際、非常に重要な要素の1つが構成だ。
構成がしっかりしていないと、話がとっちらかって、相手がついてこれなくなる。
非常に応用しやすく、恐らく最も基本的な型の1つはこのPREP法だろう。

PREP法は、以下の構成でできている。
Point(結論・主張)
Reason(理由)
Example(例)
Point(再び結論・主張)

非常にシンプルだが、このように組み立てるだけで、話のわかりやすさと説得力が増す。
話がわかりやすい人は、普段の会話からこの型ができていることに気づくだろう。
ReasonとExampleのセットは、1つ以上あってもよいが、3つくらいまでにおさめるのがよいだろう。人はそれ以上は中々消化できないからだ。

 

Point(結論・主張)

ビジネスで「結論から話せ」とよく言われないだろうか。この構成ももちろんそのようになっている。
始めに結論から伝えることで、何の話をするのか、聞き手が認識できる。
何の話なのか、結局何が言いたいのか、わからないまま話が進むと、大体の聞き手は混乱してしまう。

 

Reason(理由)

結論や主張だけただ言われても、説得力はない。
なぜそうなのか、ちゃんと理由を添えることが重要だ。
また、しっかり結論のすぐ後に理由を言うことで、話のつながりがわかりやすい。

 

Example(例)

論理的な理由だけ伝えても、思った以上に人に伝わらなかったり納得しなかったりするものだ。
Reasonを裏付ける具体例を述べよう。
例を入れる目的は、相手に腹落ち感を持たせるためだ。
もし可能なら、できるだけ相手に関連付けた例や、イメージの湧く例だとよい。
Reasonは左脳や理性に訴えるが、うまいExampleは相手の右脳や感覚・感情に訴えることができる。
人の印象に残ったり、行動を促すのは、後者なのだ。

 

Point(再び結論・主張)

最後に結論を繰り返す。
聞き手への伝わらなさを侮ってはいけない。
大切なことは繰り返し伝えることで、相手の記憶に残すのだ。

 

PREP法の例

いつくか例を見てみよう。

Point:このシステムを導入すべきです。
Reason:なぜなら、業務を効率化し、部署の残業を減らせるからです。
Example:導入した他社事例では、残業が非常に多く、メンバーは疲弊して雰囲気も悪く、残業代が高くて経営陣も頭を抱えていました。導入したことにより、毎日1人平均xx時間だった残業が、1ヶ月でxx時間まで減り、残業代だけで約xx円の節約になりました。更にメンバーも余裕が出てきてモチベーションが上がり、売上も15倍になりました。
Point:そのため、貴社にもこのシステムの導入をお勧めします。

Point:この物件が一番のお勧めです。
Reason:なぜなら、駅から非常に近いからです。
Example:この物件なら駅から徒歩1分。大雨でもほとんど濡れることはないですし、急ぎの用事でもぎりぎりまで家にいることができます。お忙しいあなたには、このように駅から近い物件がぴったりなのではないでしょうか。
Point:なので、この物件をお勧めします。

 

日々の会話でも意識しよう

紹介したPREP法は、ほとんどのプレゼンで応用できる、基本的な構成だ。
日々のちょっとした会話や報告でも、意識できるようにするとよいだろう。
プレゼンに限らず、ちょっとした文章でも使える。
話の伝わりやすさが、段違いによくなるはずだ。

まとめ
PREP法は、以下の構成でできている。
Point(結論・主張)
Reason(理由)
Example(例)
Point(再び結論・主張)

合成の誤謬と分割の誤謬とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ
合成の誤謬と分割の誤謬とは? | 詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ 1024 684 Biz Tips Collection

世は詭弁にあふれている。論理的に間違っていることをしっかり見抜くには、どんな詭弁があるか頭に入れておくのが早道だ。今回は表裏一体である2つの詭弁である「合成の誤謬」と「分割の誤謬」を紹介する。

 

合成の誤謬は、部分的な特性を全体の特性とすること

「A高校のBさんは頭がいい。なのでA高校はみな頭がいいはずだ。」

合成の誤謬(fallacy of composition)は、一部分を取り上げて、一部分がこうだから全体もこうだ、と主張する論法だ。

論理展開は以下の通りだ。
・BはXである。
・BはAの一部分である。
・それゆえ、AはXである。

他にも例を見てみよう。

「分子に意識はない。なので、分子で構成された脳が意識の源であるはずがない。」
何かによって構成されたものが、その何かが持たない性質を持つ場合もある。

「サッカー観戦で立ち上がると試合がよく見れる。なので、皆が立ち上がれば皆が試合をよく見れる。」
他の人が座っているからこそ効果があるという条件を忘れて、全員に適用してしまった例だ。このように、一部だからこそ効果のあることを全体がすると効果はなくなる。

また、合成の誤謬は、早まった一般化と似ているが違うものだ。
合成の誤謬は、あるものの一部分の特性が全体に適用されるという前提から主張を展開しているのに対して、早まった一般化は少ないサンプルから主張を展開している。結果同じようなことを言っている場合もあるが、論理展開(論理は間違っているが)が違う。

 

分割の誤謬は、全体の特性を部分の特性とすること

「A高校は進学校だ。なのでA高校のBさんも成績がよいはずだ。」

上記の例文はどうだろうか。正しい場合もあるかもしれないが、必ずしもそうとは言えないだろう。
全体の平均や合計などから、個々の特性を必ずしも正しく当てることはできない。

分割の誤謬(fallacy of division)は、全体がこうだから、一部分もこうだ、と主張する論法だ。合成の誤謬の逆パターンと言える。

論理展開は以下の通りだ。
・AはXである。
・BはAの一部分である。
・それゆえ、BはXである。

他にも例を見てみよう。

「アメリカは世界一の経済大国だ。お隣のアメリカ人Aも金持ちに違いない。」
アメリカ人全員が金持ちとは限らない。

「Aさんは、ラーメンが好きだ。なので、ネギやメンマをそのまま食わせても好きだろう。」
ラーメンが好きだからといって、材料全てが好きとは限らない。

 

まとめ

今回は、表裏一体である合成の誤謬と分割の誤謬を紹介した。
まとめると以下の通りだ。
・合成の誤謬は、部分の特性を全体の特性とすること
・分割の誤謬は、全体の特性を部分の特性とすること

「詭弁を見抜く!論理の間違いシリーズ」では、他にも以下を紹介している。
権威に訴える論証の解説と例
わら人形論法(ストローマン)とは?種類と例
循環論法とは?具体例と悪用方法
もっともらしいが間違った比較7種
軽率な一般化とは?例と気をつけ方