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「アドバンテージマトリクス」と4つの事業タイプとは?| 事業環境分析フレームワーク
「アドバンテージマトリクス」と4つの事業タイプとは?| 事業環境分析フレームワーク 1024 768 Biz Tips Collection

事業の戦略を考える上で、まず事業環境の分析が必要だ。そのための手法は様々あるが、その1つであるアドバンテージマトリクスについて解説する。

 

アドバンテージマトリクスは業界の競争環境を分析するフレームワーク

事業の戦略を決めるため、業界の競争環境を分析するフレームワークの1つとして、アドバンテージマトリクスがある。後述するが、規模の経済と差別化という観点から分析するフレームワークとなっている。

アドバンテージマトリクスでは、2つの軸で、事業を4つのタイプに分類する。
2つの軸は、「競争優位性の規模」と「競争優位性獲得のためのアプローチ数」だ。

  1. 特化型事業
  2. 分散型事業
  3. 規模型事業
  4. 手詰まり型事業

これらの4つに分類する。

 

「競争優位性の規模」とは?

「競争優位性の規模」とは、確保した競争優位性をどれほど規模化できるかだ。簡単に言うと、規模の経済が働く事業かどうかだ。(よく日本語では「優位性構築の可能性」と訳されているが、元々英語では「Size of Advantage」であり、規模の経済への言及である。)

「競争優位性獲得のためのアプローチ数」とは?

「競争優位性獲得のためのアプローチ数」は、その名の通り、競争優位性を獲得するための手段がどれくらいあるかだ。少なければ勝敗は単純に決まる。よく競争上の戦略変数とも訳される。言い換えると、どれほど差別化方法があるかだ。
例えばある業界ではコストだけが決め手かもしれないが、加えて商品特性、立地、ターゲットなど様々な差別化方法がある業界もあるだろう。

このように、2つの主流な経営戦略であった「規模の経済」と「差別化」の両方の可能性について、1つのグラフで分析したのが、アドバンテージマトリクスだ。

それでは、このマトリクスで分類された4つの事業をそれぞれ見ていこう。

 

規模型事業とその具体例

規模の経済が効き、競争優位性構築へのアプローチ方法が限られている(差別化要因が少ない)事業は、そのまま規模型事業と呼ばれる。言い換えると、競争要因がほとんど規模しかないと言える。明確な業界リーダーとしての大企業がいる業界となる。

例えば鉄鋼や自動車などが該当する。これらでは、製品での差別化が比較的難しいため、規模を追求する形になる。M&Aなども規模を追求するためのよくある選択肢の1つだ。

この事業タイプでは、シェア拡大が最も重要なゴールとなる。

 

分散型事業とその具体例

差別化要因が多くあり、規模の経済が効かない事業は、分散型事業と分類される。シェアが伸びてもROIやコストに大きな影響がないため、規模を大きくしにくい業界だ。「多数乱戦業界」とも呼ばれるように、大企業がほとんどなく、小さなプレーヤーがたくさんある状態だ。新規参入も多くなりがちだ。

例えば、飲食店や美容室、士業などは、多様なプレーヤーが様々な差別化をしながら、明確なリーダー企業はなく戦っている。

もちろん規模拡大がしにくい業界だからといって、全くできないわけではない。飲食店チェーンなどはその一例だ。しかし、基本的には無理に規模化せずほどほどの収益性を保つのが基本戦略となる。

 

特化型事業とその具体例

特化型事業は、差別化の可能性と規模化の可能性がある事業タイプだ。このような事業タイプでは、独自のポジショニングに特化することで収益を上げている企業が多数存在できる。それぞれの特化領域でそれぞれの規模で収益を上げているため、市場シェアと収益性は相関しない。

わかりやすい例が雑誌だ。雑誌はジャンル毎にその中で強いプレーヤーが存在できる上、それぞれが規模化することが可能だ。(ニッチすぎるジャンルでない限り。)専用機器メーカーも、各専用の用途毎にプレーヤーが生存できている。

この事業タイプでは、特化できる領域を見つけることが基本戦略となるだろう。

 

手詰まり型事業とその具体例

手詰まり型事業は、規模の追求も差別化も難しく、どのプレーヤーも収益性を上げにくい状態にある事業だ。このような業界では、中小企業は淘汰され残った大企業も苦しんでいるという状態になりやすい。

肥料などは1つの例だ。多くのコモディティ化した素材業界も、大規模化の限界を向かえ、手詰まり型事業となっている。

基本的には、参入しない方がいい。

 

まとめ

  • アドバンテージマトリクスでは、2つの軸で、事業を4つのタイプに分類する
  • 2つの軸は、「競争優位性の規模」と「競争優位性獲得のためのアプローチ数」
  • 「規模型事業」=競争要因がほとんど規模しかないため、明確な業界リーダーがいる業界となる
  • 「分散型事業」=差別化要因が多くあり、規模の経済が効かないため、中小企業で寡占している
  • 「特化型事業」=差別化の可能性と規模化の可能性があるため、独自のポジショニングに特化することで収益を上げている企業が多数存在できる
  • 「手詰まり型事業」=規模の追求も差別化も難しく、どのプレーヤーも収益性を上げにくい状態になっている
業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは?
業務改善や振り返りのためのフレームワーク「KPT」とは? 1024 682 Biz Tips Collection

よく振り返りをするべきと言われるが、実際に振り返っても意味があったのか実感できないことが多くないだろうか。振り返りはぼんやり行っても意味はない。チームとしての場合も、個人としての場合も、振り返りを行う際はその指針として、簡単なフレームワークが1つあれば、考えるべきポイントが明確になる。

今回はそのための基本的なフレームワークを1つ紹介する。

 

KPTとは、Keep,Problem,Try

KPTは、もともとはシステム開発のプロジェクトなどで使われていた、振り返りのためのフレームワークだ。

KPTは以下の略となる。振り返る時はこのK→P→Tの順序でするとよい。
K= Keep(続けること)
P= Problem(問題があること)
T= Try(新しく取り組むこと)

たったこの3つの基本的なフレームワークだが、振り返るべきところが明確になり効率的だ。

逆に明確な指針なしの振り返りは、ただの感想になってしまいがちだ。

KPTは、プロジェクトの業務改善の一環でチームとして振り返る場合も、個人的に振り返る場合も有効だ。

もともとはチームで実施されることが多いフレームワークで、その場合はホワイトボードなどに以下のような枠を作って実施することが多い。

振り返るそれぞれの項目について見てみよう。

 

Keep (続けること)

Kでは、良かった/うまくいったので継続することをリストアップしていく。
チームで振り返る場合でも、個人的にうまくいったことをシェアしてもよい。

ポイントは、ただ良かった結果だけを挙げるのではなく、その結果に結びついた行動を挙げることだ。
(もちろん、結果を挙げてはいけないわけではない。まず結果を挙げて、どの行動がよかったのか考える順序でもよい。)

 

Problem(問題があること)

Pでは、問題があることを書き出していく。
以下のようなものが含まれるだろう。

  • 実際に問題が発生したこと
  • 不安なこと、リスクを感じること
  • よりよくできそうなこと、工夫できそうなこと

気をつけることは、個人の責任を追及するような会議にしないことだ。

犯人の吊るし上げでなく、あくまでチームとしてどんな課題があるかを考えよう。

 

Try(新しく取り組むこと)

Tでは、次に新しく試すことを書き出す。
Problemで上がった問題点の改善策などでもよいし、やったらいい気がしていることでもよい。
たくさん上げていき、最後にいくつかに絞って実行するのがよいだろう。

また、KPTを使った振り返りを複数回実施する場合は、挙げられたTryを次回のKeepやProblemで見直すとよいだろう。

 

まとめ

  • KPTは、振り返りを有意義にするためのフレームワーク
  • K→P→Tの順序で振り返りを実施
  • KはKeep(良かったので、このまま続けること)
  • PはProblem(問題のあること、改善すべきこと)
  • TはTry(新しく取り組むこと)
B2B営業の受注見込み度を測る!BANT条件とは?
B2B営業の受注見込み度を測る!BANT条件とは? 1024 1024 Biz Tips Collection

営業案件の獲得確度は、営業担当としても、部署としても、把握すべき重要な内容だ。それ次第で、案件の優先順位や着地見込み、営業計画などが変わってくる。
しかし、営業の現場では、営業担当に獲得確度を聞いても感覚値しか返ってこない、むしろ営業担当者もどれぐらいの可能性で案件獲得の見込みとなるかよくわかっていないということがよくある。
そんな時に使えるフレームワークがBANT条件だ。

BANT条件は、Budget、Authority、Needs、Timeframe

BANTは、営業担当が受注見込み度を測るためのB2Bセールスにおけるヒアリングテクニックだ。

BANTは以下の頭文字の略となる。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)

この4つのどれかが欠けると、少なくともすぐにの受注確度はかなり低くなる。
これが「条件」と呼ばれる理由だろう。
1つずつ見てみよう。

 

Budget(予算)

自社製品を購入するための予算があるのかを確認する。
全く予算がない、予算があっても自社製品の金額感と合わない、などの顧客では当然受注見込みが低い。
予算がこのために組まれていなくても、いつどんなプロセスで予算確保されるのか、予算確保される可能性はあるのか、把握することが重要だ。

Authority(決裁権)

営業では当然、決裁権限を持つ人物へのアプローチが最も近道だ。
逆に決裁権がない人物への営業ばかりしていては、どうしても効率が悪くなる。
「誰が実際に決裁権を持つか」、「その人物にアプローチできるか」、「目の前の人物が決裁権を持っていなくても持っている人にどう間接的にアプローチできるか」を聞き出すことは営業を効率的に実行するために重要だ。
見込み顧客の意思決定フロー・どんな稟議を通るのかをうまく聞きだせるとよいだろう。

 

Needs(必要性)

当然すぎることだが、相手に本当にニーズがあるかは確認すべきだ。
自社製品と先方のニーズのギャップがないか、よく確認しよう。

また、この時、目前の担当者個人だけの要望なのか、組織全体としてのニーズであるのかは意識しよう。
目前の担当者の個人的な要望に過ぎない場合、うまく予算が確保されないなどの可能性もある。
誰のニーズなのか(個人・会社として・部署として等)は、把握できるに越したことはない。

加えて、ニーズが具体的なのかぼんやりとしているのかも1つの確認ポイントだ。

Timeframe(導入時期)

製品の導入時期について決まっているかも確認すべきだ。
会社としてニーズはあり、いつかは導入すべきだが、今は他の優先順位が高いことに予算もリソースもかかりきりという状況もありうる。逆に、二ヵ月後にはこのような商品を導入したいと予定が決まっていれば、受注確度は高い。
一方で、他の優先順位が明確にあるわけでなく、なんとなく時期が決まっていないだけの場合は、営業担当が能動的にスケジュールを提案していってもよい。

 

BANT条件の活用方法

案件の受注見込み度を知ることで、優先順位の高い顧客を中心に営業を掛けて行く作戦を立てることができる。
これにより、営業活動全体をより効率的にしていくことが可能だ。
そのために必要な情報として、BANTの4つがあり、各法人営業担当がこれらを確認することを意識すれば、各案件の受注見込み度をしっかり把握できるようになる。

各営業員が自身の案件をしっかり把握できるようになることに加えて、営業部署として以下の2点のメリットがある。

1つは、案件受注確度の共通認識化だ。
よくこんな会話を聞かないだろうか。

「この案件確度どうなの?」

「多分行けそうなんですけどねー」

上司はよく案件の確度を気にしているが、それに対する答えはいつも営業担当の感覚になってしまう。
人によっては大げさに伝えておいたりする。そのため、あまり当てにならない場合が多い。
一方、BANT条件のようなフレームワークが部署としての共通認識になっていれば、より正確な受注見込み度を伝えることが可能だ。例えば、「決裁者にアプローチできていてニーズはあるようなのですが、予算化して導入するのは来期になるようです。なのでそれまで薄く繋がっておこうと思います。」と答えた方が、より正確な受注見込み度が伝わるだろう。

2つ目は、これらの情報をまとめて、部署として案件をセグメント化・整理が可能になることだ。
そうすれば、経営層や営業部署リーダーは、ひと目でどれくらいの案件がどれくらい受注見込みなのかがひと目でわかる。
そしてそれに応じて案件の優先順位を決めたり、来期の営業計画を立てることが可能だ。

 

BANT条件の注意点

BANT条件は、あくまで営業のヒアリング項目だ。
よくある間違いだが、マーケティング部門の道具ではない。
例えば営業がしっかり各案件のBANT条件をデータベースに入力していて、そのデータをマーケティング部門が活用するなら問題はないだろう。

しかし、マーケティング部門が率先的にBANT条件のデータを取りに行くのは基本的にうまくいかない。BANTは直接聞かないととれないデータだからだ。
マーケティング部門が、セミナーや展示会の参加者にアンケートでBANTの情報を聞き出そうとしても、正確な答えは通常返って来ないだろう。

また、BANT条件は見込み度を測り比較できる数値ではあるが、BANT条件が満たされないから見込み度が全くゼロというわけではない。あくまですぐには受注しなさそうだということなので、すぐに案件を捨てるべきとは限らない。

 

営業する時は、BANTをうまく聞き出そう

BANTは、受注見込み度を測るための、B2B営業におけるヒアリングテクニックで、以下の4つを聞き出すものだ。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(必要性)
Timeframe(導入時期)
これらをしっかり聞き出すことで、案件の見込み度がわかり、部署としても管理可能となる。

目標設定の5つのコツ!「SMARTの法則」とは?解説と例
目標設定の5つのコツ!「SMARTの法則」とは?解説と例 1024 726 Biz Tips Collection

目標設定にはコツがある。目標の設定は重要だが、うまく設定しないと、意味のないものになってしまう場合が多い。目標はしっかり行動に結びつき、達成されてこそ意味がある。そうならない場合、そもそも目標がいけてない場合が多い。SMARTはそうならないための目標設定のフレームワークだ。

SMARTは結果の出やすい目標設定のフレームワーク

目標設定のフレームワークSMARTは、以下の通り「よい目標」に必要な5つの要素の頭文字からできている。
実は同じ頭文字で微妙に違うバリエーションもいくつかあるが、恐らく一番有名と思われるものを紹介する。

S – Specific :具体的

目標はできるだけ具体的な方が達成しやすい。曖昧なゴールは、何をどこまですればよいかわかりにくい。より具体的であるほど、達成のための方法や計画が立てやすい。具体的だからこそ、現状とのギャップが明確になるのだ。

悪い例:「人事制度を改善する。」「営業部隊を強化する。」

M – Measurable:測定可能

測定可能なことも重要だ。そもそも曖昧だったり、具体的でも測定ができない目標にしてしまうと、進捗や達成したかどうかの判断ができなくなってしまう。売上増加などであれば、いくら売り上げるのか定量化しよう。
ここは目標によっては結構難しかったりする。例えば、「社員のロイヤリティーを上げる」という目標を測定可能にする場合、「社内アンケートを事前・事後に実施して、スコアをx%増加させる。」などと、それように測定方法を考える必要がある場合もあるだろう。

悪い例:「事業Aの売上増加」「優秀な人材を3人採用(「優秀」を定義しないと測定できない)」

 

A – Achievable:達成可能

目標があまりに高すぎると、人はモチベーションが下がってしまう。現実的に達成可能そうな難易度に目標は設定するべきだ。目標は、本当に達成できるだけの十分な時間・人などのリソースがあるか、確認しよう。もちろん簡単すぎる目標はそもそも設定する意味があまりないので、ちょっと難しいが達成は可能なくらいがよいだろう。

悪い例:「本を1日2冊読む!」「売上を2倍にする!」(もちろん、現実的に達成可能かどうかは状況による)

R – Relevant:関連している

目標には、通常更にその上位の目標がある。部署の目標や会社としての経営目標などだ。更にその上には会社のビジョンがあったりするだろう。目標設定ではしっかりその上位の目標と関連していることを重視すべきだ。
目標は思いつきではなく、大目標や目的から考えよう。
個人レベルであれば、それは本当に自分が達成したい目標なのか、一度考えてみるのがよいだろう。

悪い例:
例えば部署の大きな方針として新規顧客開拓を重視していたとしよう。個人の目標が短期的な売上だけで設定されていると、手間や時間がかかる新規開拓よりも、売上を上げやすい既存顧客にばかり営業員が時間を使ってしまうリスクがある。その場合、新規開拓数も別で目標設定するか、それ専門の役割の人を立てるのがよいだろう。

T – Time-bound:期限がある

いつまでに達成すべきかわからない目標は、中々十分な行動に結びつかない。目標には、いつまでに達成するのかの期限は必ず含めるようにしよう。

悪い例:「いつか業界ナンバー1」「できるだけはやく売上xxx円」

 

SMARTで、スマートなゴールを設定しよう

SMARTは目標設定のためのフレームワークであり、まとめると以下の通りだ。
S – Specific :具体的
M – Measurable:測定可能
A – Achievable:達成可能
R – Relevant:関連している
T – Time-bound:期限がある

SPACE分析とは?自社のポジショニングを可視化・分析するフレームワーク
SPACE分析とは?自社のポジショニングを可視化・分析するフレームワーク 1024 614 Biz Tips Collection

SPACE分析は、内部環境と外部環境から、自社や事業の取るべきポジショニングや戦略を示すフレームワークだ。内部と外部を評価する意味では、いわゆるSWOT分析と似ているが、SWOT分析がより定性的で明確な結論が出しにくい一方、SPACE分析はどうすべきかまで示唆してくれる。事業責任者などであれば、頭に入れておくとよいだろう。

SPACE分析では、内部環境と外部環境を評価

SPACE分析とは、Strategic Position and Action Evaluationの略で、直訳すると「戦略的ポジショニングとアクションの分析」だ。SPACE分析では、内部環境と外部環境を評価して、自社の取るべきポジショニングを明確にする。

SPACE分析での内部環境は、「自社の競争力」と「自社の財務力」を評価する。
外部環境としては、「業界の魅力度」と「業界の安定性」を評価する。

これらの4つの項目を評価し、その偏りによって、自社の取るべきポジショニングを教えてくれるのが、このSPACE分析だ。

具体的なステップを見てみよう。

SPACE分析のステップ

ステップ① 評価項目の決定

まずは、4つの項目それぞれに対して、評価するサブ項目を決める。通常、以下のサブ項目のいくつかが使用される。自社の事業にあった項目を複数選択するとよいだろう。

自社の競争力:
・マーケットシェア
・製品の質
・顧客ロイヤリティー
・技術的ノウハウ
・垂直統合度合い
・プロダクトライフサイクル

自社の財務力:
・ROI
・キャッシュフロー
・資本
・マーケットからのイグジットの容易さ
・財務リスク

業界の魅力度:
・成長率
・潜在市場規模(成長ポテンシャル)
・利益ポテンシャル(市場は伸びていても、薄利多売の業界もある)
・参入しやすさ
・必要リソースの取得の容易さ
・業界特性による財務の安定性(安定的に利益が上がる業態か、など)

業界の安定性:
・技術革新の影響
・参入障壁の高さ
・価格弾力性
・需要の変動性(ボラティリティ)
・インフレ率
・代替品の圧力
・その他業界特有のリスク

ステップ②各サブ項目の評価方法の決定

評価するサブ項目を決定したら、それぞれに1点から最大6点で評価できる評価方法を決める。
少し分かりづらくなるが、この時、「自社の財務力」と「業界の魅力度」に関しては、1(最低)~6(最高)で点数を付ける。「自社の競争力」と「業界の安定性」に関しては、逆に1(最高)~6(最低)で点数を付ける。

非常に厳密な定義をする場合もあれば、ざっくりやる場合もある。基本的には、内部環境は競合との比較で評価し、外部環境は他の業界と比較するとよいだろう。

 

ステップ③各項目を評価

各サブ項目を、決めた評価方法にそって、1~6点で評価する。
次に、4つの項目(自社の競争力、自社の財務力、業界の魅力度、業界の安定性)ごとに、サブ項目の点数の平均を取る。これで、4つの項目それぞれに6点満点の点数がついた。

 

ステップ④評価結果をグラフにプロットする

評価結果を、以下の図の通り、プロットする。縦軸は、上に「自社の財務力」と下に「業界の安定性」。横軸は、右に「業界の魅力度」と左に「自社の競争力」だ。
これらがそれぞれ対になっている理由としては以下の論理になっている。自社の財務力も業界の安定性も、どちらも事業の安定性に寄与する。(例えば、業界が安定していなければ財務力が必要)。また、自社の競争力も業界の魅力度も、どちらも自社の利益ポテンシャルに寄与する。
この時、「自社の財務力」と「業界の魅力度」に関しては、1(最低)~6(最高)で点数をつけ、「自社の競争力」と「業界の安定性」に関しては、逆に1(最高)~6(最低)で点数をつけたことを忘れないようにしよう。

ステップ①~④までの結果、最も面積が大きかった象限に記載されているのが、自社の取るべきポジショニングだ。

SPACE分析による4つの戦略の方向性(ポジショニング)

冒頭にも述べた、SWOTとの違いである「とるべき戦略の方向性」について以下で解説する。
順序は前後するが右上→右下→左上→左下の象限の順で説明していくものとする。

Aggressive Position (攻撃的ポジショニング)

右上の象限は、攻撃的ポジショニングだ。右上の面積が一番大きいということは、事業としても安定していて(自社の財務力や業界の安定性の少なくともいずれかが高い)、事業の利益ポテンシャルも高い(業界の魅力度か自社の競争力の少なくともいずれかが高い)ということだ。
一言で言うと、ガンガン攻めるべき時ということだ。シェア獲得に向けて、マーケティング施策を大きく打ってもよいし、買収してもよい。垂直統合に向けて動いてもよい。

Competitive Position(競争的ポジショニング)

右下の象限は、競争的ポジショニングだ。ここの面積が一番大きいということは、業界が安定していないが、チャンスが大きい(利益ポテンシャルが高い)ということだ。この状況でキーとなるのは、自社の財務力を強化することだ。キャッシュフロー強化、コストカットなどによる効率化、などの手がありうる。自社の競争力があるうちに、利益率を高め財務状況を安定させ、業界の不安定さに備えるのだ。

Conservative Position(保守的ポジショニング)

左上は、保守的ポジショニングと呼ばれるものだ。安定しているが伸びていない業界で、財力のある企業であれば、取るべき手は2種類ある。
1つは、製品の競争力を保持しつつ上げることだ。主要製品を守りつつ、新製品の投入などを検討すべきだ。
一言で言うと、むやみに攻めることにリソースを使う(営業強化など)よりも、自社の競争力を上げる(製品開発など)ことにフォーカスするということだ。
もう1つは、事業が利益を生んでいるうちに、その財務力を使って、周辺のより利益率の高い市場に参入するという手だ。業界の魅力度があまりに低い場合はこちらを検討すべきだろう。

Defense Position(防御的ポジショニング)

左下は、防御的ポジショニングと呼ばれる。業界の魅力も自社の強みも低く、財務的にも安定していないようであれば、むやみに投資すべきではない。コストカットによる効率化や、コストをできるだけかけずに競争力を上げることをチャレンジしてもよいが、撤退も検討した方がよい。

 

SPACE分析で、事業の方向性を考える

まとめると、以下の通りだ。
・SPACE分析は、内部環境と外部環境から自社の取るべきスタンスを示唆するフレームワーク。
・内部環境では「自社の競争力」と「自社の財務力」を評価。外部環境では「業界の魅力度」と「業界の安定性」を評価。
・総合的に全て高ければ、攻撃的ポジショニングで、攻める。
・業界が魅力的か自社の競争力があるが、財務力や業界の安定性が低い場合は、競争的ポジショニングで、自社の財務基盤確立にフォーカス。
・財務力があり業界が安定しているが、業界の魅力や自社の競争力が低ければ、保守的ポジショニングで、むやみに攻めず競争力確保に動く。
・いずれも低ければ、防御的ポジショニングで、投資を抑え撤退を検討する。

組織の目的と戦略に一貫性を持たせる! VMOSTモデル
組織の目的と戦略に一貫性を持たせる! VMOSTモデル 1024 683 Biz Tips Collection

組織や事業体の各施策やアクションは、最終目的と一貫しているのが理想的だ。しかし現実は、目的に対して重要でない施策にリソースが裂かれていたり、どこを目指しているのか共有されていなかったりする。そんな時、一貫したビジョン・戦略などを立てたり、もしくはある組織の行動が一貫しているかの分析に使えるフレームワークが、VMOST分析だ。シンプルであり聞いたことあるような単語が並ぶが、意外としっかり意識されないことが多い。実際は、組織やチーム、1プロジェクト単位でも使うことは可能だ。アメリカではメジャーなフレームワークなのでしっかり抑えておこう。

VMOSTは、Vision、Mission、Objective、Strategy、Tactics

VMOSTモデルでは、以下の5項目で整理する。聞いたことある言葉が多いだろう。
Vison:ビジョン
Mission:ミッション
Objective:目標
Strategy:戦略
Tactics:戦術
※ビジョンとミッションを1つに扱って、MOSTモデルと呼ばれることもある。

これら全てがしっかり一貫性・整合性を持っているかチェックするのが、VMOSTだ。5項目それぞれの定義と、各項目の関係性に注目するのが重要だ。

Vision:ビジョン

ビジョンは最終的に実現したいものだ。実現したい世界観であったり、実現したい姿であったりする。言い換えれば、最終目的と言える。
例えば、○○病協会であれば、「○○病がない世界を作る」「○○病を世界から撲滅する」のようなものになるだろう。

Mission:ミッション

ミッションとは、「ビジョンを達成するために何をするか」だ。ビジョンに向けて、その組織としての役割という見方もできる。ビジョンとミッションは混同しやすいが、少なくともこのモデルではこのように定義される。
例えば、先ほどの○○病協会であれば、「○○病がない世界を作る」(ビジョン)ために。○○病協会のミッションは「○○病の研究活動を促進する」かもしれない。ビジョンは実現したい状態であり、ミッションはそのために組織としてすることだ。
また、ミッションは1つだけのイメージを持たれることがあるが、実際は複数あってもよい。

Objective:目標

目標は、ミッション達成のための目標値となる。
「○○病の研究開発を促進する」における目標値は例えば、「○○病関連の研究開発費を年XX円にする」「○○病関連の論文数をXX個にする」になるだろう。

Strategy:戦略

戦略は、目標を達成するために注力する大まかな方向だ。
例えば「○○病関連の研究開発費を年XX円にする」を達成するために注力するのは、「関連研究開発予算を増やすためロビー活動をする」「資金を募って本協会として研究開発費を補助する制度を作る」になるかもしれない。
この戦略は、各目標値それぞれに紐付けるパターンと、各戦略が複数の目標値に寄与するため1つ1つに紐付けないで作成するパターンがある。どちらも間違いではないが、後者のパターンを取った場合は、各戦略がしっかり目標のどれかに関連しているようチェックすべきだ。

Tactics:戦術

戦術は、戦略を実行するための具体策だ。
「資金を募って本協会として研究開発費を補助する制度を作る」という戦略であれば、具体的な戦術は、「啓蒙ホームページで募金を募る」「クラウドファンディングを立ち上げる」「資金提供する研究を募る」などなど、といったところだろう。各戦術は、どれかの戦略と一貫していなければならない。

VMOST具体例 | VMOSTを一枚でまとめる

VMOSTを一枚でまとめると、ビジョンから具体策までがしっかり一貫しているかがわかりやすい。この一枚絵からあぶれる戦略や戦術を実行しているようであれば、それは止めてもよいだろう。

先ほどの例でいうと、以下がVMOSTの具体例となる。
ピラミッド型で表す場合と、ボックスと線で表す場合がある。
ちなみに、戦術は全て記載しようとすると多くなるので、戦略までで表現する場合もあり、その場合VMOSと呼ばれることもある。

VMOSTで、ビジョンから施策まで一貫させる

VMOSTモデルを使う目的は主に以下の3つだ。
・目的から施策まで一貫した組織/プロジェクトを設計する
・組織/プロジェクトの行動が、最終目的とちゃんと一貫しているかを分析する
・一枚でビジョンから施策まで見える化することで、組織全体として最終目標や各施策の意味合いを共有する

ECRS(イクルス)とは?解説と例|業務改善・効率化のフレームワーク
ECRS(イクルス)とは?解説と例|業務改善・効率化のフレームワーク 1024 683 Biz Tips Collection

「業務量が多い」、「人員が足りない」などの時に役立つ、簡単に覚えられるフレームワークがECRS(イクルス)の原則だ。プロセスの改善でも、個人的な日々の業務の効率化でも、この原則を頭に入れておくと、思いつきで実行するよりも効果的だ。

ECRSは、Elimate(排除)、Combine(統合)、Rearrange(再編成)、Simplify(シンプル化)

ECRSは、業務効率化の4つの視点を、以下の順番で検討する考えだ。4つの視点の頭文字を取って、ECRSと呼ばれている。元々は生産工程を効率化するために使われることが多かったが、日々の業務でも活用可能だ。

Elimate(排除) ⇒ Combine(統合) ⇒ Rearrange(再編成・入替) ⇒ Simplify(シンプル化)

1つずつ見ていこう。

Eliminate(排除):業務をなくせないか?

始めに検討するのは、業務をそもそも排除できないかだ。生産における不要な工程や、オフィスにおける無駄な会議がなくなれば、業務は効率化する。とりあえずやめてみる、というのも手だ。
この会議は必要か?この研修は必要か?この資料は必要か?などと、まず排除の可能性を問うのが、ECRSのスタートだ。
ポイントは、Why(何のためにやっているか)と、What(何をしているのか≒目的に合ったことをしているのか)を意識することだ。

Combine(統合):業務をまとめられないか?

なくせない業務について次に検討するのは、他の業務とまとめられないかだ。業務はまとめてしまえば、準備や連絡などの関連するやりとりが減り、効率化できる。
・メンバーごとに別々に実施していた会議を1つにまとめる
・別々に実施してた、新人研修とPCセットアップを同じ時間に実施する
・複数あった報告資料を1つのフォーマットにまとめる
・似てる機能の部署を、1つの部署にまとめる
・商品をまとめて配送する

Rearrange(再編成・入替):業務の順序や場所などを入れ替えられないか?

消したりまとめたりできないのであれば、順序などを入れ替えることで効率化できないか考えよう。ECRSのRは、作業の順番の入れ替えだけと思われていることも多いが、ここでいう再編成は、業務の順序、リソース、場所、担当者、などの入れ替えも含む。
・営業を近いエリアの顧客を担当するように入れ替えて、移動時間を減らす
・会議の後に、同じメンバーの別会議を設定することで、人の移動や席の準備などの手間を減らす
・報告業務を2日前倒しにすることで、上長が次のステップにすぐに進めるようにする
・資料作成は、会議の後にする

CombineとRearrangeで意識するのは、When(いつやるのか)、Where(どこでやるのか)、Who(誰がやるのか)だ。

Simplify(シンプル化):業務自体を簡素化できないか?

最後に検討するのが、業務自体をよりシンプルにできないかだ。
・会議のアジェンダを減らす
・報告書の項目を減らす
・かかわる人を減らす
Simplifyは見方によっては、ある業務を更に細分化して、それぞれに対してまたEに戻って検討する、とも言えるかもしれない。
意識するのは、How(業務がどのように実施されているか、どれくらい実施されているか)だ。

ECRSで重要なのは、検討する順番

ECRSは、業務効率化における4つの視点を教えてくれるが、最も重要なのがその順番だ。ECRSの順番は、効果が大きいもの順になっている。業務の排除(E)がもちろん最も効果が大きい。次に業務をまとめるのが効果が大きい(C)、といったようにだ。

ECRSを意識しないと、Sの視点ばかりで業務改善を実施してしまう恐れもある。どんなにSの視点で業務を効率化しても、そもそもその業務が排除可能だったら、その努力は効果的でない。

また、Eで排除可能と結論が出れば、CRSは検討する必要がない。一方、C以降は、例えばCで統合可能と結論が出ても、その後RやSを検討してもOKだ。

ECRSを意識して業務を効率化

ECRSは簡単に覚えられるので、業務を効率化する時は、念頭にいれておくといい。
まとめると、ECRSは以下の4つの視点をこの順番で検討する。
Eliminate(排除):業務をなくせないか?

Combine(統合):業務をまとめられないか?

Rearrange(再編成・入替):業務の順序や場所などを入れ替えられないか?

Simplify(シンプル化):業務自体を簡素化できないか?

VRIO分析とは?企業の競争優位性を手軽に明確化するフレームワーク
VRIO分析とは?企業の競争優位性を手軽に明確化するフレームワーク 1024 683 Biz Tips Collection

「自社の競争優位性は長期的に維持できるのか」「競争優位性を向上するにはどうすればよいのか。」このような問いに対して、VRIO分析とは、企業の保有する競争優位性を明確化し、維持・向上に役立てるためのフレームワークだ。このフレームワークのいいところは、簡単なフローで4つの評価項目を順番に分析するだけで、誰でも比較的手軽に分析できることだ。

VRIOは企業の経営資源を分析するためのフレームワーク

VRIOは内部分析のフレームワークだ。VRIOでは、4つの評価軸から、企業の経営資源がどれほど有効活用されているか、どこに競争優位性があるか、どれほど競争優位性があるか、分析する。

経営資源とは、企業内部にある資源のことで、いわゆる「ヒト、モノ、カネ、情報」だ。

この経営資源を評価する4つの要素は、以下の通りだ。
・価値(Value)
・希少性(Rarity)
・模倣困難性(Imitability)
・組織(Organization)

それぞれの項目については、次項で詳しく説明するが、まずどんな分析するかを見ると、イメージがわきやすいだろう。
VRIO分析のステップはシンプルだ。以下のフローチャートの通り、この4つの要素それぞれが自社にあるかを、順番に確認していく。

上記の図の見方は以下の通りだ。
その経営資源が、価値すらなければ、競争で劣位と考える。アウトソースしてしまってもよいだろう。
その経営資源に、価値はあるが、希少性がなければ、競争が均衡状態と言える。競争優位に寄与はしていないが、最低限必要でむげにできないものの場合が多い。
その経営資源に、価値希少性があり、しかし模倣可能であれば、競争優位だが一時的だ。いずれ他社が真似してくるだろう。
その経営資源に、価値希少性、そして模倣困難性があるが、資源を活用できるよう組織が設計されていなければ、持続的な競争優位性のポテンシャルがある、もしくは持続的な競争優位性を発揮しているが余計なコストがかかっている可能性がある。一言で言えば、持続的競争優位性のポテンシャルがあるが最大限活用されていない、と見る。
その経営資源に、価値希少性模倣困難性があり、そしてそれを最大限活用できるよう組織が設計されていれば、持続的な競争優位性を発揮できている。

また、フローチャートでなく、以下のような表で表現することも多い。順番にでなく、同時に全4要素を分析するやり方だが、基本的に結論はフローチャートでする場合と変わらない。

この4つの質問を通して、自社資源がどれほど競争優位に寄与しているか、もしくはどの資源が自社の強みになっているか、分析することが可能だ。

この後実例で見てみるが、その前に4つの要素についてもう少し補足する。

VRIOでは、Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、組織(Organization)を分析

価値

価値とは、そのまま企業にとってその資源に価値があるかどうかだ。価値があるというのは、外部の機会獲得に役立つ、脅威への対抗に役立つ、顧客に対しての価値を向上する、のどれかと考えてよい。例えば、牛丼屋の牛丼を作る機材類の物的資源は、顧客への価値を提供するので、価値があると言えるが、他社もいつでも買えるので希少性はない。

希少性

次に評価するのは、その資源が希少かどうかだ。希少というのは、その資源が限られていたり、他社が持っていないもののことを言う。今で言うと、例えばAIに詳しい人材という人的資源が、そもそも数が少ないので希少性があるが、模倣困難ではないと言えるのではないだろうか。その気になれば、他社も自社のエンジニアに教育することが可能だからだ。そのような資源は、一時的な競争優位を築けるが、将来どうなるかわからないので、何か手を打つべきかもしれない。

模倣困難性

次に評価するのは、その資源が模倣困難かどうかだ。VRIO分析を考案したバーニー教授は、以下の4つのケースを挙げている。
歴史的状況:企業の歴史的背景や、長い期間を通して培ったものは、模倣困難な場合が多い。例えば「業界50年」というブランディングは価値を生むし、今更時を遡って模倣することはできない。
曖昧な因果:他社から見て、その資源がどう活用されているのか、どの資源が活用されているのか把握できない場合は、そもそも何を模倣したらいいかわからないため、模倣困難だ。ブラックボックス化とも呼べる。
社会的複雑さ:企業の文化や外部との関係性によるものは、模倣しにくい。例えば、政府や規制機関との人的な繋がりが含まれるだろう。
特許:もちろん特許があれば法律で守られるので、模倣は困難だ。

組織

ここでいう組織とは、経営資源が活用されるよう組織が設計されているかどうかだ。経営資源は、価値があり、希少で、模倣困難なだけで、必ずしも効果を発揮するとは限らない。その資源を最大限活用されるよう、社内プロセスや組織構成、社内文化などがしっかり設計・機能していて初めて、意味のある資源となる。
極端な例を挙げれば、社がせっかく模倣困難な特許技術を使った製品を持っているのに、その製品を営業が理解できるような社内教育がない、より簡単な商品を売ったほうが営業にとって楽なインセンティブ設計になっている、などの状況により営業がその製品を売ってくれない状況が、駄目な例だろう。そのような場合でも、一部の営業はその製品を売っていたりするので、その資源が全く活用されていないわけではないが、少なくとも最大限に活用はされていない。

VRIO分析の実例

例えば、マクドナルド社の経営資源を見てみる。

資源:安くておいしいハンバーガーのレシピ
マクドナルドは、様々な挽肉をブレンドすることで(安くておいしくない肉においしい脂身を混ぜる)、安いのにおいしいハンバーガーを提供してきた。
これは価値はある。しかし、他のファストフードも今では同じようなことをしていると思われ、希少性はあまりないかもしれない。少なくとも、模倣困難性はないだろう。ここが強みではないことがわかる。

資源:世界中でのブランドイメージ
価値がある。また、ここまでのブランドは希少だ。そして、これほどのイメージを培うには年月がかかるので、模倣困難と言えるのではないだろうか。また、世界中に店舗を展開し各国で社員・流通が機能するよう組織化しているので、組織的にもしっかりこのブランドイメージという資源を有効活用している言えるだろう。

他にも、資金調達をする力は、マクドナルドにとって価値ある資源だろうが、これは同じくそれを持つ競合はいくらでもいるので、希少性はない。また、マクドナルドの低価格の理由の一つに、世界規模の流通システムを構築していることがあるが、これも同じく価値があり希少で模倣困難かつ組織的に活用されている資源と言えるだろう。

VRIO分析では、以下のように資源を横軸に並べて、VRIO分析することもある。
これにより、どの資源が自社にとって重要か、実はポテンシャルがあるのに有効活用されていないかなどがわかる。自社の強みとして挙げていたものが実はそうでもないとわかる場合もあるだろう。
縦軸の資源が思いつかない場合は、SWOT分析やバリューチェーン分析などから項目を出すことも可能だ。
(図は架空の企業)

VRIO分析で内部資源を評価

VRIOは、どの経営資源が競争優位性に寄与しているか、どれほど有効活用されているか、把握するためのツールだ。経営資源を価値、希少性、模倣困難性、組織の4要素で評価する。これを元に、何に力を入れるべきか、場合によっては何をアウトソースすべきか、などの判断材料に利用可能だ。
一点、注意すべきは、持続的に競争優位とフレームワーク上出ても、外部環境が変われば、そもそも価値があった資源の価値がなくなり、優位性でなくなる場合もあるので安心してはいけないことだ。

 

問題解決の幅が広がる!RACIの4つだけでないRACI図の発展版
問題解決の幅が広がる!RACIの4つだけでないRACI図の発展版 1024 646 Biz Tips Collection

プロジェクトの責任分担管理表であるRACI。Responsible、Accountable、Consulted、Informedの4つの役割が基本だが、実はこれに役割を追加した発展版もいくつかある。必ず必要な役割ではないだろうが、発展版も把握しておくことで、プロジェクトの状況に応じて提示できる解決策の幅が広がるだろう。まだ、RACIの基本を学習していない方はこちらを先に参照してほしい。(→RACIチャートの意味とは?プロジェクトの責任分担を見える化する!

Responsibleを分解したRASCI

通常のRACI図では、実行責任者であるResponsibleは複数人いても問題ない。しかし、あまりに多いと、タスクの実行・完了の最終責任が誰にあるのか不明確になるという弊害もある。そんな時に、あくまで実行責任者を一人に特定し、その他の実行者をSupportとして明確に区別したのが、RASCIだ。従来のResponsibleを2分割したものとも言える。

Responsible(実行責任者):タスクの実行・完了に責任を負う者。
Support(サポート):Responsible配下に当てられた者。Responsibleと共に実際にタスクを実行する。(実際にタスクを実行するため、Consultedとは違う。)

担当者だけでなく無関係者も明確化したCAIRO(RACIO)

通常のRACI図に、Oを追加したものだ。

Omitted、もしくはOut of Loop(部外者):タスクに関係ない者。

通常のRACIでは、タスクに関与しないリソースを特に役割がなく基本的には部外者であると明確化することも有効な場合もある。(Oの人間は、特定の会議に呼ばないという規則を作って、リソースの効率化するなど)

検証者と承認者を追加したRACI-VS

RACIに新たな二つの役割を追加したものだ。

Verifies(検証者):成果物が当初の基準を満たしているか検証する者。
Signs off(承認者):Verifiesの検証結果を承認する者。承認し、次の工程への受け渡しに責任を持つ。

Verifiesは、Accountableが設定した基準などを、Responsibleが達成しているかを検証する役割だ。第三者的に検証する場合もある。
Signs offは、Accountableと同じ人物であることもあるが、クライアントなどAccountableとは別になることもある。Signs offが多すぎると、プロジェクトのスピードが落ちる。

いずれも成果物の結果に責任を持つ者(Accountable)と、その結果の判断をする者を明確に分けたい時に有効だろう。

バリエーションを知ることで、引き出しが増える。

RACI図さえ知っていれば、基本的な対応は可能だ。しかし、RACI一つしか知らないと、それが絶対だと思ってしまいフレームワークに囚われた状態になってしまう。派生系を知っていれば、プロジェクトの状況に合わせて柔軟に活用することもできる。また、フレームワークは本来作るものだ。状況に応じては、その状況にあったオリジナルな役割を追加するという柔軟性があってもよいだろう。

 

RACIチャートの意味とは?プロジェクトの責任分担を見える化する!
RACIチャートの意味とは?プロジェクトの責任分担を見える化する! 1024 683 Biz Tips Collection

RACI(レイシー)チャートとは、プロジェクトにおいて、プロジェクトメンバーの役割を明確にするためのフレームワークだ。コンサルタントがプロジェクトマネージメントでよく使用したりする。ステークホルダー(関係者や組織)が多い時に特に有効なツールとして利用できる。そんなRACIチャートがどんなフレームワークで、どのような場面で利用されるのか、解説する。

RACIチャートとは、役割や責任を定義するフレームワーク

「この件は誰がボールをもっているんだ?」
「渡辺さんが進めてたんじゃなかったの?」
それぞれの役割が明確でないと、このように、誰も進めていないタスクが発生したり、ボールの押し付け合いが発生したりする。
このような事態が発生しないようにプロジェクト、特にステークホルダーが多いプロジェクトでは、役割の明確化が重要だ。
RACIチャートは、そんな時のために使用されるフレームワークの一つだ。

RACIチャートは一言で言えば責任分担表だ。
RACIチャートでは参加者を以下の4つに分類する。
参加者は、人の場合もあれば、複数の組織が関わる場合は、組織単位の場合もある。

Responsible(実行責任者):タスクを実際に実行することに責任を持つ人。複数いることもある。
Accountable(説明責任者):タスクの結果に最終責任を持つ人。成果物やタスクの遂行に対して上層部などへ説明責任を持つ。タスクの承認者ともいえる。1人にすべきである。
Consulted(協業先):タスクに対して相談を受ける人。実行や成果に明確な責任は持たないが、必要な専門知識などをもっており必要に応じてサポートする。
Informed(報告先):タスクの進捗・完了や成果物について、報告を受ける人。

Consulted(協業先)とInformed(報告先)は、必ずしも必要でないが、Responsible(実行責任者)とAccountable(説明責任者)は必須となる。

RACIチャートを作る際、しっかりこの4つの定義を理解している必要がある。いざ作り始めて、作りづらさを感じる時は、ここの定義がしっかりわかっていないもしくは明確に決定されていない場合が多い。以下がよくごっちゃにされてしまう役割の違いだ。

あいまいにされやすいResponsibleとAccountableの違い

上司と部下で例えるとわかりやすい。部下はタスクを実際に実行するが、その結果を更に上の部長に報告するのはその部下の上司だ。部下がやらかしたら、上司が責任をとらされる。だから、上司は部下のタスク内容を管理や承認する。この場合の部下がResponsibleで上司がAccountableだ。

実際の現場でタスクの最終責任者が実際に実行する場合、つまりResponsibleとAccountableが同じ人物の場合も当然ある。

わかりにくいConsultedとInformedの違い

ConsultedとInformedもまた、区別がつかず混同されることが多い二つだ。
わかりやすい違いは2点。
・Consultedではコミュニケーションが双方向だが、Informedは一方通行の報告。
・Consultedでは主に動く前にコミュニケーション(相談)する。Informedでは主に動いた後にコミュニケーション(報告)する。
Consultedはどう進めるか困ったときに聞く人、Informedは進捗があった後に伝えておく人だ。

 RACIチャートの例

上記のRACIの各役割の定義を踏まえ、実際のRACI表(チャート)は例えば以下の通りになる。

縦軸に人(もしくは組織)、横軸にタスク、そして各マスに役割が記載されている。
見ての通り、ResponsibleとAccountableは同じ場合もあれば、ConsultedとInformedはない場合が多い。

多数のステークホルダーで責任分担の認識をしっかり共有することが重要

RACIチャートが最も効果を発揮するのは、多数の参加者(ステークホルダー)がいる複雑なプロジェクトの場合だ。逆に、少人数のプロジェクトでは、わざわざRACIチャートを作らなくとも、各タスクの担当者を決めているレベルで十分回るケースが多い。複雑なプロジェクトでは、ボールがどこになるのか不明確にならないよう、RACI図を整理して公開しておくとよい。

逆にうまく行っていないプロジェクトで、現在のRACIチャートを書いて、役割が不明確なところを特定するという、問題解決的な使い方も可能だ。役割の不明確さだけでなく、AccountableとResponsibleの担当部署が遠すぎて、うまく連携できていない、という課題を特定できたケースも過去にあった。
ステークホルダーが多く、複雑なプロジェクトでは、RACIチャートを整理するのも手だ。

問題解決の幅が広がる!RACIの4つだけでないRACI図の発展版